恐怖と欲望・・今どちらを制御すべきか
みなさんこんにちは。

以下は先日世界銀行が発表した、2009年各国の経済成長率予想です。

・日本(-5.3%)
・米国(-2.4%)
・ユーロ圏(-2.7%)
・中国(+ 6.5%)
・インド(+ 4.0%)
・ロシア(-4.5%)
・ブラジル(+ 0.5%)


あえて先進国とBRICsに色分けして考えますと、日米欧の成長率の
単純平均は-3.4%、これに対しBRICsの単純平均は+1.6%と
なりました。

ロシアはエネルギー相場に依存する部分が多く、BRICs平均の
足を引っ張っていますが、それでも先進国と新興国の間には、
大きな開きがみられます。

この数字だけみておりますと、2007年後半さかんに語られた
「デカップリング論(注)」は、あながち誤りではなかったのでは
ないかという気さえしてまいります。

注)新興国は先進国に違って、景気サイクルの影響を受けることなく
成長を続けるという理論

「デカップリング論」の背景には、『新興国ももちろん世界の
景気サイクルや金融危機の影響を受けるが、その経済のベース
に高い成長性という裏付けがあり、そのことが常に
経済成長率に対して一定のサポート要因となり続ける』
このような考え方があるのでしょう。

簡単にいえば『国としての成長力というゲタをはいているぶん、
景気後退期でも経済成長は維持されるし、景気拡大期の成長は
かさ上げされる』ということです。

ではなぜそのような新興国の株価が、2007年の金融危機以降
(むしろ先進国の株価より)大きく下げたのでしょうか。

ちょうど当時と逆のスパイラルが始まろうとしているいま、
このメカニズムを解明しておく意義はとても大きいと思います。

私は下記のような理由を挙げたいと思います。

1.新興国株の市場は小さく、僅かなお金の逃避が市場の大きな
マイナス要因となること。

2.なによりも多くの市場参加者はこのことを十分に理解しており、
相場の下げ局面でわれ先の逃避行動に走りやすい。

3.2007年末に至るまでの長期上昇過程で、多くの投資家は
十分に稼いでおり、利益を確定し市場から退避しやすい環境
にあったこと。

4.長期の上昇相場で、一部新興国株のPERが異常値を示すなど、
割高感が目立ち始めていたこと。


経済成長においてプラスを維持する新興国の株が、
マイナス成長の先進国の株に比べ大きく売られた理由は、
このような理由からではなかったでしょうか。

なかでも私は2番目が一番大きいと思っています。

多くの投資家は新興国株暴落を恐れながらも、欲望に駆られ
市場からなかなか逃げられない・・・そのような状況で金融危機
という外的なショックに見舞われ一斉逃避が起こった。

ただ先進国株市場より新興国株市場のほうが、より一斉逃避が起こり
やすい状況にあったということ、単にそれだけのことではなかったか
という気も致します。

私たちが住む社会では、このての一斉逃避行動がよく起こりますね、
恐怖が欲望に変われば逆にこんどは密集行動が起き、
そしてそれはバブルへとつながってゆきます。

いずれも人間が強い社会性を持った動物である限り、避けて通る
ことはできず、私たちは自らの欲望や恐怖心と戦いながら投資を
続けてゆかなければならないということでしょう。

さてそのような観点で今の新興国株をみるとどうでしょうか。

恐怖心と欲望・・・

どちらを制御すべきときなのでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2009年5月19日)




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