コモディティ相場と中国-その2
下記は2001年以降の香港H株指数の推移です。

http://stock.searchina.ne.jp/data/
(『サーチナ』サイトより)

皆さまんはこのチャートをご覧になって、どのような感想をお持ちに
なるでしょうか。

ちなみに香港H株指数は、中国本土に本社を置きながら
香港株式市場に上場している企業の株価指数で、簡単にいって
しまえば、中国の優良企業の株価の平均値だとお考えください。

2001年といえば、米国のITバブルの翌年で、
日米を始め世界の先進国経済は後退中、先進国株も先進国経済と
リンクして2003年にかけ一貫して下げ続けました。

要するに先進国の株価は、このチャートの起点となる2001年
から2003年まで下げ続けたわけです。

さてそのような視点でもう一度上記のチャートをご覧いただくと
どうでしょうか。

中国H株指数は、その間ほとんど先進国の景気後退の影響を
受けず、むしろどちらかといえばやや緩やかな右肩上がりで
上昇していることがわかります。

一方で先進国の株価は、この2000年~2003年にかけて
どう動いたでしょうか。

下記は日経225の直近10年チャートですが、先進国の株価は
概ね同じような形状を描いています。

http://stocks.finance.yahoo.co.jp/stocks/chart/
(『ヤフーファイナンス』サイトより)

いかがでしょうか・・・

前回の先進国の株価サイクル、即ち

・2000年~2003年までの下げ
・2003年~2007年までの上げ


のうち、中国株は最初3年間の下落局面はほぼ無反応、
後半4年の上げ相場のみ連動して上昇したということになります。

私たちはこの事実をどのように解釈すればよいのでしょうか。

いくつかの見かたができると思いますが、私は中国株が
世界のマネー圏に組み入れられたのは、ごく最近になってからで、
それ以前は世界のマネーは、中国を投資先として十分認知して
いなかったと考えています。

世界の投資マネーが中国市場に目を向け始めたのは、確か
ゴールドマン・サックスがBRICsという言葉を作ったころ、
言い換えれば2005年ごろではなかったでしょうか。

それ以前は先進国株との連動性はさほど高くなかったが、
前回の上げ相場(2003年~2007年にかけて)は、ちょうど新興国株
が世界のマネー圏に組み入れられた時期と一致した・・・

私はこれが「前半3年無反応、後半4年急連動」の理由ではないかと
思います。

もし上記の見かたが正しければ、ここ数年世界は大きな
パラダイムの転換を経験したといえるかもしれません。

中国を始めとした新興国経済が、完全に世界経済のなかに
ビルト・インされたということをですから・・・

歴史を振り返ってみても、中国一国が先進国中心の世界経済に
組み込まれたインパクトは、とても大きいと思います。

1960年から1970年代にかけ、当時の新興国であった日本と
西ドイツが先進国にキャッチアップし、世界経済に組み込まれ
ましたが、歴史上今回ほど大きな人口の塊(かたまり)が、
キャッチアップしてきた経験を私世界は持ったことがありません。

しかも中国の後にはインド、そのあとにはブラジル、アセアン諸国
といった人口大国が続いています・・・

すでに景気回復の兆しがみえ始めているようですね、
次の景気回復は「米国の需要が弱く、従ってL字型の景気回復になる」
といった予測をよく耳にしますが、はたしてそうなのでしょうか・・・

次回の景気回復は、さきのパラダイム転換あと、私たちが
始めて経験する景気回復期です。

いままでと同じアプローチで予想すると、見誤ってしまう
かもしれませんね。

新興国株もコモディティも・・・

特にコモディティ価格の上昇は、需給バランスの崩れによって
もたらされます、大きな人口塊のキャチアップの過程では、
どうしても供給が需要の急増に追いつかず、必然的に相場は上昇続け
ます。

もちろんいずれは新興国側の需要の増加は止まるでしょう、
それに対し、高騰したコモディティの生産は経済原則に従って
増えますので、時間の経過とともに供給は増え、その結果
コモディティ価格は歴史的な平均値に向かって回帰してゆくこと
でしょう。

ただしその時期は新興国によるキャッチアップが完了したとき、
目安は一人当たりGDPということになるのではないでしょうか、
人間は他人と同程度裕福にならなければ、幸福を感じられない
悲しい性(さが)を持っているようですので・・・

ちなみに2007年時点の、新興各国の一人当たりGDPは下記のように
なっています。

・米国      45,790ドル
・日本      34,254ドル
・韓国      19,983ドル
・ロシア     9,115ドル
・ブラジル    5,859ドル
・中国      2,485ドル
・インドネシア  1,918ドル
・インド     1,042ドル




では、今回はこのへんで。
(2009年5月28日)




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