善なのか、悪なのか-2
『コモディティへの投資でお金を儲けることは
悪いことではないのか・・・』

以前私もよく考えました。

例えば株価や債券の価格が上昇しても、それはあくまで
マネーの世界でのことですので(マネーの世界で生きて
いない大半の人々に)直接的な悪影響を及ぼすことは
あり得ません、むしろ株高によって世界のマネーにほど良い
循環が生まれることにより、世界はより豊かになる可能性
が高いとすらいえます。

ですからほとんどの人は、株や債券への投資で儲けること
について抵抗を感じないはずです。

これに対してコモディティはどうでしょうか・・・

例えば昨年前半の、原油価格や穀物の価格の上昇は記憶に
新しいところですが、商品相場の高騰は、アジアやアフリカの
貧しい人たちはもちろん、私たち自身の生活も脅かしましたね。

先進国に住むごく僅かの人間が、その欲望によって、
大勢の貧しい人たちを苦しめていいのかという疑問を
感じられた方は多いのではないでしょうか、もちろん
私もその一人です。

ところがこの問題、深く考えてゆきますといろいろなことが
みえてきます。

『自然界のあらゆるものは、外からの力を受けることにより
一時的に歪みが生るが、時間とともにその歪みは解消され
もとの状態に戻る』

私はこんなふうに考えています。

相場も人間が織り成すという意味では自然界の一部、
そとから圧力を受けた相場は、一時的に歪みが生じますが、
時とともにその歪みは修復され、もとの状態に戻るはずです。

であれば商品相場もこの法則に支配されているはず。

現在商品相場で起こりつつある『歪みの発生と、その帰結』
は以下のような経過をたどることになるのではないでしょうか。

1.インド・中国など人口大国の経済的急成長(外部からの圧力)

2.コモディティの需給バランスの崩れ(歪みの発生)

3.商品相場の急騰(歪みがもたらす現象)

4.テクノロジーの進歩による生産拡大(内部からの反作用)

5.コモディティの需給バランスの修復(歪みの解消)

6.商品相場の下落(歪み解消がもたらす現象)


であれば、マネーはこのようなプロセスにおいて、どのような
役割を担っているのか・・・そしてマネーは善なのか、それとも
悪なのか・・・

結論を申し上げますと、マネーは上記プロセスの進行速度を
速めているだけだと私は思います。

まず上記2~3に至る過程をみてみましょう。

いま世界はこの段階を迎えようとしているわけですが、
投資(投機)マネーが商品市場に大量に流入することにより、
商品相場は急騰し、これがテクノロジーの進歩を促している
ともいえます。

例えば原油価格・・現在1バレル=70ドル程度ですが、これが
仮に昨年末のように30ドル台にとどまっていたなら、例えば
カナダのオイルサンドや日本海のメタンハイドレートの開発
は行われるでしょうか。

あるいは穀物の価格が高騰するから、水害や日照りに強い
品種の改良が事業として成立するのでしょうし、アフリカや
中東で海水の淡水化プロジェクトが動き出すのでしょう。

相場が上昇する局面だけではありません、逆に上記5から6
の過程では商品相場の下落を速め、そのことは世界の実需生活者に
より早く恩恵を与えることになるはずです。

このように考えてまいりますと、マネーはサイクルの速度を
速めているだけで、相場そのものの落ち着きどころには一切
影響を与えないということが解ります。

もちろんマネーは人間の欲望で動くもの、人間の心理は
ときに理性を逸脱し、オーバーシュートしがちですから
短期的には行き過ぎる場合もあるでしょう、それでもさきほど
申し上げたように、上記のサイクルはあくまで自然界で常に
起きている作用と反作用の一形態にすぎません、大局をみれば
異常な状態が自然界で長期間放置されるということは
ないはずです。

私などはまぁこのようなことを考えながら、自分自身の良心の
呵責と付き合っているだけなのかもしれませんが・・・


では、今回はこのへんで。
(2009年6月16日)




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