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11ヶ月のディレイ
みなさんこんにちは。

過去をいくら振り返ってみたところで、将来を予想する
ことなどできないとは思いますが、それでも過去を振り返る
ことにより、多少のヒントを得られる場合はあると思います。

そういう意味で、私は新聞のスクラップを続けていますし、
また時々引っ張り出して昔の記事に見入ったりも致します。

特にサブプライム・ショックが表面化した2007年前後の
記事は、大いに勉強になります。

例えば2007年以降に起こった、商品相場と株式相場のずれ。

2007年6月以降、徐々に「サブプライム問題」という単語が
紙面に現れ始めますが、それが私たちの実生活に大きな
影響を及ぼしたのは、8月中旬に起きた、パリバ・ショックを
発端とした世界同時株安ではないでしょうか。

先進国株と新興国株の間に多少のタイムラグはありますが、
概ね世界の株価は、約18ヵ月にわたって下落し続けること
になります。

この間の新聞記事を読みなおしますと、「サブプライム問題」
「世界同時株安」、「信用不安」などといったように、
おどろおどろしい言葉が並んでいるのですが、一方で
「商品相場高騰」「貴金属上昇」「穀物急騰」など
コモディティ相場の上昇を伝える記事も目立ちます。

ご存知のように商品相場はそれ以降も上昇を続け、
2008年7月まで続く大相場になりました。

先進国株が下落に転じたのが2007年8月でしたから、
その間、実に約11ヶ月間、お互い逆方向に向かって
走り続けていたことになります。

ではなぜこのように長期間のタイムラグが
生じたのでしょうか・・・

私は大まかに申し上げて、以下のような理由をがあると思います。

1.各国当局が利下げに転じたため、あぶりだされたマネーが
商品相場に向かった。

2.サブプライム関連のデリバティブに懲りたマネーは、透明性が高く、
理解しやすい商品相場に流れた。

3.2007年8月の株価急落以降も、コモディティには先高観があり、
最後に残された価値上昇資産と認識されていた


なかでも3は重要ではないでしょうか。

今からそう遠くもないことですので、私はまだその時の市場の
雰囲気のようなものを記憶していますが、

「新興国経済が成長すれば、いずれコモディティは不足する」
「今回のショックで一時的に新興国の経済は停滞するが、ショック
から立ち直ると新興国経済は再び成長路線に戻る」

このようなコモディティの、絶対量不足に対する共通認識があった
ように思いますし、つきつめればそのようにシンプルで解りやすい期待、
長期を見据えた期待が、コモディティ相場を11ヶ月にわたって支え
続けた原動力だったように思います。

・・・ただそれも2008年9月のリーマン・ショックで
吹っ飛んでしまいましたが。

さてそのような視点に立って、現在の商品相場をみると
どうでしょうか。

かつて11ヶ月にわたって相場を支えてきた期待は、
現状においてもまったく損なわれておらず、このことは
今後の相場を予想するうえで、何らかのヒントを与えて
くれるような気がしております。


では、今回はこのへんで。
(2009年6月23日)




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