久しぶりに政治のお話し
みなさんこんにちは。

今回は久しぶりに政治のお話をさせてください。

政治は経済活動に大きな影響を与えますし、逆に経済は
人々の日々の営みを介して政治を動かします。

一言でいいますと、政治と経済は不可分の関係にある
といっていいと思います。

一方で資産運用という作業は、経済活動の一隅に自らの資産を
投じる行為といってよいでしょう。

資産運用を志す人にとって政治に無関心でいることは、投資対象
が持つさまざまなリスクに加え、政治的盲目であるという、もう一つの
リスクを背負い込むことになるといってよいのではないでしょうか。

このような観点で、皆さんにも是非政治に対して興味を
持って頂きたいと思いますし、そのことによって資産運用の
精度を高めていって頂ければと思います。

さて政権交代のお話です。

民主党の経済政策をあえて一言で表現するならば、国民から集めた
税金を、直接国民に配分するという意味において『分配重視戦略』
といえるのではないでしょうか。

自民党政権が企業の収益力を高め間接的に国民の富を増やす、いわば
『成長重視戦略』を志向してきたのとは、対象的な戦略といえると
思います・・・ただ自民党の成長路線も、中途半端で頓挫して
しまいましたが・・・

現在の行政システムの非効率さや、我が国の極端な出生率の低さを
考えますと、「子ども手当」に象徴される『分配重視戦略』は、
あるいみ自然な流れなのかもしれません。

一方で民主党幹事長の岡田さんはよく、「家計へ手厚い分配を行い、
内需拡大による経済成長を目指す」といい、「『分配重視戦略』
が即ち『経済成長戦略』でもある」ともいいますが、私はこの考えは
甘いと思います。

経済成長による所得増加の見通しがない限り、
「子ども手当」は将来の子どものために貯蓄に回る、
よくこのように言われますが、私も全く同感です。

日本のように成熟した国が、経済的に成長を続けるのは一筋縄では
ゆかず、やはり外需の獲得による企業活動の活性化は必要不可欠
ではないでしょうか。

『分配重視戦略』か『成長重視戦略』のいずれかということ
ではなく、車の両輪のように同時にフル回転させ、ようやく実現が
遠い彼方にみえてくる・・・私は成熟国の経済成長は、それほど困難な
ナローパスではないかと思うわけです。

ところが一方でいまの民主党の支持基盤について考えますと、
悲しい想像が成り立ちます、労働者への分配を後回しにしがちな
『成長重視戦略』を、やすやすととれるでしょうか・・・

分配重視一辺倒の戦略は、遅かれ早かれどこかで頓挫し、
民主党は政策か政権、いずれかの放棄を迫られることになるのでは
ないでしょうか。

ところが一方で、現在の世界経済の情勢をみていますと、民主党は
誠に運が良いという見方もできます。

今年4-6月期を底に日本経済は反転した様子で、世界経済の情勢を
みても来年にかけて、どうやら景気はしり上がりに上昇しそうな
気配です。

仮に予想されるような状況になれば、新たな経済対策を
打つ必要性はなくなるでしょうし、そればかりではなく、企業業績
の回復に伴って自然に税収は増えることになるでしょう。

一方で雇用は増えて失業率は徐々に下がり、サラリーマンの給与所得
は増える、さらにそれが個人消費は持ちあげ経済成長率は高まる。

鳩山さんは国債の新規発行額を(今年度より)増やさないと
発言していますが、そのハードルは意外に低いものになる
かもしれません、あるいは向こう4年間は消費税を上げないと公約
していますが、もしかするとこれも不可能でなくなるかもしれ
ません。また失業率の低下は、そのまま政権に対する好評価に
つながってゆくことでしょう。

このように考えますと、民主党は実に絶好のタイミングで
政権についたと思いますし、『成長重視戦略』抜きの片輪走行が
思いのほか長期間続いてしまう可能性があるかもしれません。

ただそれが日本の将来にとってよいことなのか・・・

そのように考えますと決してそうではなく、むしろ悲しむべきこと
ような気もするわけです。


では、今回はこのへんで。
(2009年9月2日)




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