この道のほかに道なし
みなさんこんにちは。

今回も前回に続いて政治のお話をさせてください。

民主党の鳩山代表は9月7日、2020年までの日本の温暖化
ガスの排出目標を「1990年比25%削減」と掲げました。

この案は海外からは高い評価を受ける一方で、
国内の産業界から批判的な反応が目立っているようですね、
なかには神戸商工会議所の会頭による「荒唐無稽(こうとう
むけい)もいいところだ」(日経9月8日記事より)といった
あからさまな非難もみられます。

またマスコミの論調をみても、下記日経記事にみられるように、
具体的な数字を挙げて国民負担の大きさをことさらに訴える内容
のものが目立ちます。

(以下9月8日付日本経済新聞より)
「1990年比25%削減」が実行された場合の家計の負担等

・太陽光発電 現状の55倍
・エコカー 新車の9割と保有車の4割に
・住宅 すべてを断熱住宅に
・高効率給湯器 現状の63倍の4400万台に

『20年までに要する投資額は官民合計で180兆円を上回る。
省エネの恩恵などで50兆円ほど還元されるが、年間10兆円を
超す費用がかかる(中略)20年時点の実質国内総生産は3.2%
低下し、失業率は1.3%上がるという』


これは麻生政権時代の試算ですが、仮にこの試算通りなら
「1990年比25%削減」すると日本国の富が大きく失われ、国として
の成長性も損なわれるということなります。

さて皆さんはどうお考えになりますか・・・

私はこの問いに対するヒントを、1970年代に私たちが経験した
疑似体験・・・オイルショックに求めることができると思います。

現在の「1990年比25%削減」はいわば積極的な「環境への投資」
といえますが、オイルショック後の技術革新は、外部からの必要に
迫られた、言わば消極的動機に基づく「環境への投資」であったと
いえるでしょう、つまり両者には動機の違いこそあれ、要求される
アウトプットに何ら違いはみあたりません。

メーカーが生き残りをかけ、徹底的な省エネ技術や自然エネルギーの
利用技術の開発にしのぎを削った結果、我が国製造業は国際競争力を高め、
その後の繁栄の礎(いしずえ)を築いた・・・私たちのこの1970年代の
体験は、我々日本人の物造り力の高さを証明していると思います。

世界を広く見渡してみますと、我が国はこの物造りにおいて
隔絶した高い能力を持っているのは間違いなく、であれば我々は
その力を信じ、これからの成長戦略を描いてゆくべきでは
ないでしょうか。

確かに「1990年比25%削減」は冒頭日経記事のように、
単純に収支のバランスだけをみますと大きな赤字プランということに
なるのでしょうが、派生的に生み出される競争力を考慮しますと、
これは計り知れないほどの国益を我が国にもたらす可能性がある
思いますし、日本の企業はその潜在力を十分もっていると思います。

前回のコラムで「民主党には成長戦略が無い」と批判
いたしましたが、(ご本人がそこまで考えているかどうかは
さておいて)このプランを徹底して推進することにより、
日本産業の競争力を高め、それにより我が国の成長戦略を組み立てて
ゆくことは十分可能だと思います。

あとは鳩山さん自身が腰砕けず、信念を貫き通すことができるか、
さらに経済界や国民を説得し、この道のほかに道なしと
悟らせることができるか・・・

そういったところではないでしょうか。


では、今回はこのへんで。
(2009年9月8日)




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