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新たな資産運用の形
みなさんこんにちは。

資産運用の要諦は分散投資だといわれてきましたが、
昨年のリーマンショック以降、この分散投資万能論はやや
変質しつつあるように思います。

例えば株に対して債券やコモディティは相関性が低く、
これら資産に機械的に分散投資していれば、資産全体の
値動き(即ちリスク)は抑制できる・・・

従来の分散投資は、このような一種の信仰に基づいて
いたといえるのではないでしょうか。

また株にしても債券にしても、長い期間保有すれば
(短期的な上下動を繰り返しつつも)いずれは上昇するのだから、
ずっと我慢して持ち続ければ問題ない・・・

このように長期投資万能論は、分散投資信仰とセットで語られる
ことが多かったようですね。

簡単にいえば、分散投資と長期投資の組み合わせは万能だと
いう考え方が従来の資産運用の教義だったわけですが、
この考えは本当に正しいのでしょうか。

例えば統計上、僅か2%の確率でしか起きないとされる特異な年が、
10年の間に数回も現れてしまうという現実。

あるいは世界の金融市場が一体化し、質的な変容を遂げる過程で、
過去の統計上のデータはむしろ投資家に誤ったサインを
送ってしまうという懸念。

このように今まで私たちが信じてやまなかった資産運用の
常識が、どうやらあやしくなってきているような気がして
なりません。

加えて私たちは、現在目の前で進行しつつある世界経済の
パラダイム転換(即ち先進国が低成長期に入る一方で新興国が
大きな影響力を持つにいたるという経済的断層)にも注目して
おく必要があるはずです。

このような状況では、いくら過去のデータに基づいて機械的に
ポートフォリオを構築しても、すでにそれ自体がさほど意味を
成さないという見方も成り立つわけです。

むしろ私は過去のデータのみでなく、いわゆるフォワード・ルッキング
(先を予想した)な投資スタイルを取り入れる必要があると
思いますし、それには自ずと今後の世界経済に対する(ある程度の)
予見が求められるとも考えています。

さてそのような観点で、現在の世界経済を見渡してみますと
ここ数年で明らかに起こりそうなことが見えてきます。

まずは世界経済の中心が、従来の日米欧を中心とした先進国
から中国・インドなどの新興国に移ってゆくであろうという
点で、この見方に異論を唱える人はまずいないのでは
ないでしょうか。

かつての新興国であった米国、ドイツ、日本などの経済発展の
歴史を振り返ってみますと、現在の新興国が中途半端にその成長を
止めるとは考えにくく、かなりの確率で彼らは先進国並みの経済規模
に達するはずです。

その結果アジアや南米では中間所得層が拡大し、巨大な消費市場
が生まれることでしょう。

彼らの消費欲を満たすため、工業製品や農産物は増産が求められる
でしょう、が一方でそれらを生産するための資源の供給を、急に
増やすことはできません。

需要と供給がマッチするまで、しばらくは天然資源の価格が
上昇する形で資源不足は調整されるはずです。

その結果

銀やプラチナなど産業用貴金属
銅、アルミ、亜鉛などの非鉄金属
大豆、小麦、トウモロコシなどの農産物


このような商品の価格は徐々に(あるいは急速に)上昇して
行くでしょう。

また先進国通貨の相対価値が下がる過程で、金(Gold)は
絶対通貨として価値を高めることになるでしょう、金には
先進国通貨の為替ヘッジ効果があるとも言えるわけです。

これら資産は一定額資産ポートフォリオに組み込んでおくべき
でしょうし、その際はこれらを対象にしたインデックス・ファンド、
できることならETF経由での組み込みが有効ではないでしょうか。

あるいは新興国経済拡大に伴って、彼らの内需を取り込む形で
先進国側の輸出産業は成長するはずです、もちろん地理的あるいは
人的な結びつきの強さから、新興国株そのものの上昇率は
さらに高いものになるでしょう。

先進国株を買うなら資源関連株、とくに鉱山株がよいでしょう、
豪州や米国上場の鉱山株の個別銘柄もいいですし、鉱山株ファンド
もいいと思います。

新興国株を組み入れるならアクティブ型ファンドでもいいですし、
新興国株を対象にしたETFもよいでしょう、新興国株ETFも国内で
買える銘柄が随分増えてきましたが、それでも選択肢の点で不満を
お持ちでしたら、海外の証券会社やラップアカウント経由で購入する
方法もあります

また新興国の債券や通貨も有望でしょう、新興国の信用リスク低下に
ともなって新興国の国債価格は上昇するでしょうし、為替も強くなって
行くはずです。

今のところ残念ながら、海外債券を対象にした国内ETFは2銘柄
しかありませんが、アジア国債に分散投資する下記銘柄は、
コンセプトとしては正しいと思います(ただし流動性の点で
やや難ありですが)。

・ABF汎アジア債券インデックス・ファンド(東証コード:1349)


よほどモノグサでない限り、毎月分配型の債券型投信などは
買わないようにしてください。

上記はいずれも新興国経済の拡大を期待したポートフォリオですが、
景気にサイクルがある限り、これら資産も景気サイクルに連動した
価格変動から逃れることはできません。

このサイクルの影響をより小さくする方法として以下の
二つの方法があります。

1.そもそも景気サイクルの影響を受けない金融商品を
一定額組み入れておく。

2.相場を深追いせず、景気の上昇過程で相場から降りる。


前者はADPやWintonなどマネージド・フューチャーズと呼ばれる
ファンド群です、なによりもリーマン・ショック時にむしろ
高い運用成績を残したという『戦績』を持っています。

ここしばらくさまざまな市場でトレンドの反転があり、
苦戦を続けていますが、いずれ市場が安定して参りますと
年率15~18%程度の平均リターンに収れんしてゆくのでは
ないでしょうか。

これに対し後者はなかなか難しい作業だと思います、
なにしろ相場が上昇して行く過程で、相場から降りなければ
なりませんので・・・それでも経済の先行指標をウォッチ
し続けることにより、私はある程度の確率で成功できると
思っています。

以上今回は少し長くなってしまいましたが、これが私が
考える一つの資産運用の形です。

従来の分散・長期万能主義による投資スタイルとはやや
異なりますが、このようにテーマを設定し、なおかつ景気サイクル
を一区切りとして運用する方法には、十分な合理性があると私は
思っています。


では、今回はこのへんで。
(2009年9月14日)




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