ドル安とマネージド・フューチャーズ
みなさんこんにちは。

芋づる式に今回はマネージド・フューチャーズを
為替相場の観点から考えてみようと思います。

一般的にマネージド・フューチャーズの場合、為替ヘッジを
かけた数種の通貨クラスを設定致します。

例えばマン社のマネージド・フューチャーズに、
Man AHL Diversified(Guernsey)PCC というファンドが
あるのですが、このファンドには

・米ドル
・日本円
・スイスフラン
・豪ドル
・ユーロ


の5つの通貨クラスが設定されています。

このファンドの従来モデルである、Man AHL Diversified plc
には米ドルクラスしかなかったのですが・・・

『多通貨設定』はどうも、最近のマネージド・フューチャーズの
一つの流行といっていいかもしれませんね。

マネージド・フューチャーズの場合、絶対収益追求型ですので、
ファンドの特性として『多通貨設定』が馴染みやすいという
こともあるのではないでしょうか。

マネージド・フューチャーズは、一般的に米ドル建てで運用
されてはいますが、例えばユーロや豪ドル建てクラスを設定する際に、
例外なく為替ヘッジが行われ、この場合もちろん各クラスとも、
米ドル建てクラスと(ほぼ)同じリターンを得ることができます。

言い換えますと、ユーロ建てクラスはユーロベースで、
日本円建てクラスは日本円ベースで、それぞれ米ドル建てクラス
と(ほぼ)同じリターンを得ることができるというわけで、
結果的にマネージド・フューチャーズ(の米ドル建てクラス以外)
は「ドル減価耐性」があるといえます。

マネージド・フューチャーズと為替の関係について考える場合、
上記の点は以前お話しした「米ドル建て新興国株ファンド」や
「米ドル建てコモディティ」と仕組みが異なりますので、
まずその点はしっかりと整理しておく必要があるでしょう。

もう一つの留意点は、為替をヘッジするためのコストと利得
(「為替ヘッジ・コストとプレミアム」)です。

一般にマネージド・フューチャーズのプログラムは
米ドル建てで運用されています。

従ってそこから派生して、例えば日本円建てクラスを設定する
場合、あらかじめ将来の円を現在の円ドルレートで予約して
おく必要があるというわけです。

ではこの為替予約に関するコスト(場合によっては利得)は
どこからきているのでしょうか・・・

時々為替予約を取次ぐ金融機関のチャージだと
お考えの方がいらっしゃいますが、それは間違いで実際には
両通貨の金利差で決定されることになります。

例えば米ドルから豪ドルのように、金利の低い通貨らから
金利の高い通貨にヘッジをかける場合、両通貨の金利差分
だけ為替ヘッジによる利得(プレミアム)を得ることが
できますし、逆に(注)米ドルから日本円のように
高金利通貨から低金利通貨に対してヘッジを行う場合、
両通貨の金利差分だけ為替ヘッジ・コストが発生します。

(注)現在日米の金利差はほとんどゼロですので、現状は
ドルから円へのヘッジコストはほとんどありません。

では本当にそのような結果になっているのでしょうか、
Winton Futures Fund(注)の例をちょっとみておきましょう。

(注)代表的なマネージド・フューチャーズ、比較的長期に
わたって『多通貨設定』を行っていますので、各クラスの
実績を比較するのに便利です。

□2009年実績(ただし11月まで)
・USD Class -2.23%
・EUR Class -1.83%
・GBP Class -1.63%
・JPY Class -3.43%

□2008年実績
・USD Class 20.99%
・EUR Class 21.32%
・GBP Class 23.13%
・JPY Class 17.26%

□2007年実績
・USD Class 17.97%
・EUR Class 16.48%
・GBP Class 18.18%
・JPY Class 13.78%

□2006年実績
・USD Class 17.83%
・EUR Class 15.35%
・GBP Class 16.87%
・JPY Class 13.94%


2007年までは米ドル建ての運用成績が高くなっていますが、
これは同年まで米国が利上げを続け、この4国のなかで短期金利が
最も高く維持されていたからです、また2008年以降米ドル建て
クラスの成績を、ユーロ建てクラスが上回ったのは、米国
による(実質)ゼロ金利導入の影響です。

Wintonには豪ドル建てクラスはありませんが、ADPの豪ドル
クラスのパフォーマンスをみますと、為替プレミアムの影響を
かなり顕著にみることができます。

以上みてきましたように、マネージド・フューチャーズを
使いますと、『米ドル減価対策』を取ることができるばかりか、
さらに為替ヘッジのプレミアムを上乗せすることもできる
わけです。

そのうちブラジル・レアル建てが出てくるかもしれませんね・・



では、今回はこのへんで。
(2009年12月8日)




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