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「原商品を買うか、加工品を買うか」
金融商品の分類はいろいろな観点で行うことができます。
リスクの度合いによって行う分類
対象商品の種類によって行う分類
対象地域の別によって行う分類などなど。

どれも非常に重要な観点で定番の分類法です。
今日は普段あまり意識されないですが、私たち個人投資家にとって忘れてはならない重要な”観点”を一つ紹介しましょう。
まず、あなたが持っている金融商品は、"製造工程"のうちどの段階の商品ですか?

いきなり意味不明なことを申しあげてすみません。
例えば、こういうことです。
電卓の製造ラインをイメージしてください。
まず、半導体や液晶ディスプレイ、金型などがオリジナルのパーツとして外部から購入されてきて、工場のなかの棚に一旦保管されます。それぞれのパーツはベルトコンベアのしかるべき工程で組み立て用のロボットに供給されます。デバイスはベルトコンベアを進むにつれ、徐々に完成品に近づきます。

上記の工程を全て通過した商品は”電卓”として出荷され、店頭に並ぶことになります。勘のイイかたはもうお気づきだと思いますが、金融商品も全く同じですね。
例えば、「変額年金保険」を例にとりましょう。
(変額年金保険については、以前このBlogでも紹介しました、また、弊社のHPでもご紹介していますので、興味のある方は「銀座なみきFP事務所」のHPをご参照ください)

この商品、もともとは株や債券です。(おもしろいですね)
その現商品(私が勝手に名づけました、電卓の製造ラインに例えると、半導体のチップや液晶ディスプレイのようなデバイスに相当します)である「株」や「債券」を一旦加工したものが、投資信託になります。
おわかりでしょうか。
原商品であるところの「株」や「債券」が投資信託の運用会社の手によって、「投資信託」という商品に一旦加工されるわけです。
ここでは、少額で多くの現商品に分散投資できるという付加価値が付きました。

次は「生命保険会社」というロボットの登場です。
「投資信託」として一旦加工された商品(中間商品)は、次の製造過程で、生命保険会社により「変額年金保険」という最終商品にさらに加工されることになるわけですね。
「変額年金保険」は以前「投資信託」そのものですと申し上げたように、生命保険会社がいくつかの「投資信託」を集めてきて、契約者がその中で自由にスイッチできるようにこしらえ直したものです。

さらに、契約期間中に契約者(保有者)が死亡した場合、契約した元本が保証される、といったような付加価値も加えられています。
以上が株・債券から「変額年金保険」が製造される工程です。
そこで、再度質問です。
あなたが持っている金融商品は、”製造工程”のうちどの段階の商品ですか?
生産ラインの後ろの工程に進むに従って、様々な付加価値が加わります。
例えば、上記のように

●小額で分散投資が出来る
●保険機能がついている

といった具合です。

一方で、工程が進むに従って、各工程の経費と利益が上乗せされています。
上記の例でいうと

●投資信託の運用会社・販売会社の取り分は 一般的には初年度 2%〜5%
2年目以降 1%〜3%
●生命保険会社の取り分は 一般的には 年間 1.5%

といったところでしょうか。

仮に、あなたが直接に株や債券などの原商品を買い付けられる(知識がある)のなら、上記のコストは支払わなくてすみます。
世の中の金融商品は、多くの場合上記のように原商品 と 加工品 の関係が成り立ちます。

金融商品を購入する際は、

(1)その商品が製造工程のどこに位置するのか?
(2)その位置の商品を購入する”意味”は何なのか?

一度ゆっくり考えてから決めるといいですよ。

では、また。

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