距離が離れた金融商品を使う
みなさんこんにちは。

私はかねがねポートフォリオ構築には、メリハリが重要だと
考えています。

これは単に株に対して債券やコモディティを組み合わせるといった、
いわば教科書的な分散投資のことをいっているわけではありません。

私はさらに一歩進め、株・コモディティといった景気サイクルの影響
を大きく受ける資産に対し、例えばマネージド・フューチャーズを
組み合わせるというように、商品特性の明らかな質的違いに着目した
分散投資について申しあげているつもりです。

さらに申しあげますとこの『異質さ』は、上記のような
「価格変動特性」のみにとどまらず、「信用リスク」や「流動性」に
まで及んでいるべきだと考えています。

例えばマネージド・フューチャーズの場合、集めた資金のうち
実際に先物市場で使用される割合は、多くてもぜいぜい30%程度
ですから、流動性の点や信用リスクの点で他のヘッジファンドと
比べ安全性は高いといえるのですが、それでも投資家が、
なにがしかの信用リスクを負担していること自体に変わりありません。

では冒頭申しましたようなメリハリを効かせるという観点で
考えますと、マネージド・フューチャーズに組み合わせる資産として、
どのような資産がふさわしいといえるでしょうか。

マネージド・フューチャーズで信用リスクを取った分、
その相手方の資産は、出来るだけ信用リスクから遠いところにある
べきでしょう。

即ち新興国株であろうがコモディティであろうが、
極力ファンドの信用リスクが小さな商品・・・

一つの候補は間違いなくETFでしょう。

ETFは決して信用リスクや流動性リスクがゼロではありません。

もちろん運用会社が破綻する可能性もありますし、出来高の小さい
銘柄などは万一の場合、流動性が枯渇し売買が成立しない可能性もある
でしょう。

でも例えばアクテイブ型の株式投信と比べてみるとどうでしょうか。

比較論でいいますと、リアルタイムで売買できるETFのほうが流動性
が高いといえますし、投資対象の透明性が高いという点で、
運用会社破綻時に投資家が受ける被害(注)も、ETFのほうが
より小さいといえるでしょう。

(注)ファンド清算時、ポジション解消に伴って発生する
「時間的損失」や「価値の毀損」のことを言っています。

そのような観点でマネージド・フューチャーズに株やコモディティを
組み合わせるなら、ETFという器(うつわ)を利用すべきでしょう。

上記はもちろん一例にすぎませんが、皆さんがご自分でポートフォリオ
をおつくりになる場合、相関性という視点以外に、信用リスクや流動性
という観点でも、『できるだけ距離が離れた金融商品を用いる』といった
視点が重要なのではないでしょうか。



では、今回はこのへんで。
(2009年12月22日)




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