■偏っていて、欠けている
みなさんこんにちは。
「偏っていて、なおかつ欠けている」
事務所にお越しになる方の資産構成を拝見しますと、
大半の方がこのような状態になっています。
この「偏っていて、なおかつ欠けている」状態は、資産運用に
おいて決して好ましい状態とは言えません、仮に外債ファンド
のような比較的リスクの低い商品であっても、一つのカテゴリー
に資産を集めてしまうことには、大きなリスクを伴いますし、
大半の方は経験上そのことに気づいていらっしゃるのでは
ないでしょしょうか。
にもかかわらず、なぜこのように大半の方が「偏っていて、
なおかつ欠けている」状況に陥ってしまうのでしょうか。
私はこれを売る側、買う側の相乗効果の産物だと考えています。
一般に人は好みに執着する特性を持っているようですね、
金融工学の教科書の第一ページ目には「同じリターンで異なる
価格変動リスクを持つ金融商品が複数ある場合、人は価格変動の
小さい商品を選ぶ」と書かれていますが、どうも私には、人間は
それほど合理的に物事を判断していないように思えます。
なかには非常にリスク選好の強い人たちがいて、そのような
グループに属する人は、逆に同じリターンならより高い価格変動
を好む傾向にあるといった場合もあるのではないでしょうか。
また逆に損失を直視することを避けるため、資産の大半を
グロソブに移してしまうといったケースにも時々遭遇いたします。
このように人は合理的な判断基準によらず、むしろ情緒的に
金融商品を選別していると私は感じるわけです。
その結果ポートフォリオにはその方自身の性格が投影され、
知らず知らずのうちに「偏っていて、なおかつ欠けている」状態
になってゆくというわけです。
これが買う側による要因です。
これに対して売る側には問題はないのでしょうか。
一般に皆さんが証券会社と取引をする場合、複数の証券会社に口座を
開設されるのではないでしょうか。
あるいは過去のいきさつで、結果的に数社と取引があるという方
もいらっしゃるでしょう。
その結果どのようなことが起こるかといいますと、買い手一人に対して、
売り手が複数といういわば「一対多」の関係が生じることになります。
金融商品の売買の現場で、この「一対多」の関係には注意が必要です。
投資信託の世界には流行があり、例えば一社が高金利通貨建て
債券ファンドを組成しそれがヒットすると、たちまち業界あげて同種
の商品の投入といった現象がよくおきます。
その結果一人の個人投資家に対し、契約のある全ての証券会社から、
同時期に同様の投信の勧誘が行われるということが起こりえるわけです。
しかも証券会社は売る側のプロとして、顧客ごとの属性だけでなく
日ごろの営業活動からくる会話のなかで、ごく自然な形で投資家の
情緒的な部分を実によく把握してるものです(さらに言えばそれが
優秀な営業マンの条件とも言えるでしょう)。
かくして気がつけば、皆さんのポートフォリオは多数の証券会社経由で
購入した、性格の似通った投信で占められてゆく・・・
いわば「偏っていて、なおかつ欠けている」状態になるわけです。
この現象は、皆さんと証券会社のつながりが深ければ深いほど、
頻繁に起こりえるといってよいでしょう。
冒頭申しあげたように「偏っていて、なおかつ欠けている」状態は
資産運用にとって決して好ましい状況とはいえません。
株、債券、不動産、コモディティ、ヘッジファンド・・・世の中には
数多くの金融商品があります、出来るだけ情緒や好みに流されず、また
売り手の勧誘に惑わされることなく、冷静な目でご自分のアロケーション
を把握しておくようにしてくださいね。
では、今回はこのへんで。
(2010年1月21日)
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