警戒するとすれば・・・
みなさんこんにちは。

景気にはなぜサイクルがあるのでしょうか。

在庫の変動サイクル、設備の更新サイクル、建築物の建て替えサイクル、
新技術の登場サイクル・・・それぞれ周期が異なるこれらのサイクルが
合成されて景気のサイクルは作られる・・・

経済の教科書にはこのように書かれていることが多いのですが、
私にはこじ付けのように思え、どうもしっくりきません。

私などは景気のサイクルは、このような合理的な理由で起こっている
のではなく、むしろ人間の心理によって100%説明がつくのでは
ないかと思うわけです。

例えば2007年末以降のように、景気が後退し続けるとどうでしょうか。

「企業の売上」と「個人の消費」はコインの両面ですので、
これらは連鎖しながら減少し続けることになります。

ただ永遠にこの連鎖が続くかと言いますと、決してそうでは
ありません。

経済が収縮する過程で蓄積され続けてきた消費に対する欲は、
一人一人の心の中で、徐々に大きく育っているはずです。

そしてその蓄積された消費欲は、何をきっかけに放電されるのか・・・

例えばエコポイントなど政府による景気刺激策、
あるいは減税やこども手当かもしれませんが、
必ずしもそれは大きなものでなくてもよいでしょう。

既に一人一人の心の中には消費に対する欲望が十分蓄積されて
いるわけですから、それを少し刺激してあげるだけで十分なわけです、

このようにして一旦個人の消費が回復に向かいますと、
今度は逆の連鎖が始まります。即ち「消費の回復」と
「企業業績の回復」の相乗現象です。

今度の回転は蓄積された消費欲の発散を伴います、
そして蓄積された消費欲を全て放電したあたりが景気のピークで、
今度は歯車が逆回転を始める・・・

このように私などは景気のサイクルは、純粋に人間の
心理的現象ではないかと思うわけです。

私は以前から景気の二番底の可能性は低いと申しあげて
きましたが、その理由は決して小難しいものではなく、
上記のような単純な理由からです。

一旦放電を始めた消費欲は、その放電の過程で自然に止まる
ということはありえず、もし途中で止まるようなことがあると
したら、外部からの相当大きな圧力やショックが加わった時に
限る・・・私はこのように考えています。

さらに申し上げれば、景気の回復期に受ける外部からの
ショックは吸収されやすく、逆に景気の後退期に受ける
外的ショックは増幅されやすいということもいえると思います。

例えば日本の1998年や2003年に起きた金融ショック、
あるいは2008年に起きた金融ショックをみても、これらはいずれも
景気後退の過程で起きています。

巷では時々米国発の金融ショックが再度世界を襲い、
世界経済は近々二番底をむかえるといった怖いお話しを耳にしますが、
もしそのようなことが起こるとすれば、現在のような消費欲の放電期
ではなく、放電しつくした後ということになるのではないでしょうか。

私はむしろその時を警戒したいと思います。



では、今回はこのへんで。
(2010年3月16日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop