■五勝五敗で減る資産
みなさんこんにちは。
こんなゲームを考えてみました。
ここにトランプがあり、偶数のカードがでればあなたの勝ちで
お金は30%増えます。
逆に奇数がでればあなたの負けで、お金は30%減ってしまいます。
なお最初の手持ちは10,000円で、トランプはよく繰ったあとで
積まれているとします。
ここで仮にあなたが『偶数、奇数、偶数、奇数・・・』
というように、交互に勝ち負けを繰り返したとしましょう。
さて10枚目のカードをとったあと、あなたの手持のお金は
いくらになっているでしょう。
答えは6240円です。
ちょっと不思議ですね、五勝五敗だから10,000円のような
気がするのですが・・・
念のため手持ちのお金の推移をみておきましょう。
・一回目 13,000円
・ニ回目 9,100円
・三回目 11,830円
・四回目 8,280円
・五回目 10,770円
・六回目 7,540円
・七回目 9,800円
・八回目 6,860円
・九回目 8,910円
・十回目 6,240円 |
というように(10,000円-6,240円=)3,760円だけ、
手持ちのお金は減ってしまうことになります。
このようなご紹介をしますと、なかには最初に偶数をひいたからだ
とお思いの方もいらっしゃるかもしれませんが、最初にどっちを
ひいても結果は同じになります。以下念のため。
【最初に奇数をひいた場合】
・一回目 7,000円
・ニ回目 9,100円
・三回目 6,370円
・四回目 8,280円
・五回目 5,800円
・六回目 7,540円
・七回目 5,270円
・八回目 6,860円
・九回目 4,800円
・十回目 6,240円 |
上記は奇数と偶数を交互に引いた場合の結果ですが、
仮に奇数を5枚連続でひき、そのあとすべて偶数をひいても
やはり結果は同じです。
勝った場合はプラス30%、負けたらマイナス30%ですから、
期待リターンはゼロのはずですよね。
期待リターンがゼロなのに、あなたのお金はなぜどんどん
減ってゆくのでしょうか・・・
ごく大雑把に申し上げれば、「一人勝ち現象」が起きている
からです。
どういうことかと言いますと、仮に上記のゲームでAさんが
全て偶数のカードをひいて勝ち続けたとしましょう(注)。
注)このように全勝する人は、256人に一人いる計算です。
10枚のカードをめくった後、Aさんの所持金は81,570円に
なります。
これに対し全て奇数のカードをひいてしまった不幸なBさんが
いたとしましょう、ゲーム終了後Bさんの手元に残るお金は
580円となります。
確かに580円といいますと、元手の10,000円に比べれば悲しくなる
金額ですが、減少額そのものをみますと10,000円?580円=9,420円
に過ぎず、これを全勝したAさんの所持金の増加額
(81,570円?10,000円=71,570円)と比べると、僅か八分の一
程度に過ぎません。
もっと平ったく言えば、「増える方は理論上は無限大だが、
減る方はゼロ円以下にはならない」ということで、これを
グラフに描けば、左側が詰まって右側に長い分布が
ある状態(いわゆる「ファット・テール」)になります。
要するに「一握りの勝ち組」によって平均リターンがかさ上げ
されており、分布の最も多い五勝五敗近辺では、マイナスの
リターンになってしまうというわけです。
このようなことが実際の資産運用の世界で起きている
とすれば深刻ですね・・・なにしろ僅かの「勝ち組」を
除くと、半数以上の参加者は資産を徐々に減らし続ける
ことになるわけですから・・・
では、今回はこのへんで。
(2010年3月23日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|
|
|