201x年
みなさんこんにちは。

ここのところ我が国の財政赤字問題について、
意見を求められることが多くなってきました・・・

確かに多くの『煽り系の人たち』がいうように、
日本の財政赤字は大きく、このままのペースで増え続ければ
やがて国債の償還不安から、金利の上昇→超円安→ハイパーインフレ
→国家破産・・・このような最悪のシナリオを迎える可能性もゼロ
ではないでしょう。

ただここは『煽り系の人たち』の目的をよく考えて、
冷静に対応する必要があると私は思います。

そこで今回は私流にこの問題について考えてみたいと思います。

物事には起こる可能性に見合った対応が必要だと思いますし、
私たちは普段の生活のなかで、ごく自然にそれを実践しているのでは
ないでしょうか。

例えば「朝の天気予報で降水確率をチェックし、それに見合った
雨具を持ってゆく」といったように・・・

そのような観点でみれば、国家破産の可能性はいったい
どの程度あるとみておけばよいのでしょうか。

この問題について考える場合、現状を客観的な数字で
おさえておく必要があると思います、以下は大まかな数字です。

・長短国債の発行残高 約820兆円 (09年9月末現在)
・家計が保有する金融資産 約1440兆円 (09年9月末現在)
・上記から家計の負債を除いた額(純資産残高) 約1065兆円(同上)


上記のように家計は1440兆円の金融資産を持ってますが、同時に家計は
約400兆円の借金をしていますから、実質的に家計の純資産は
約1065兆円ということになるわけです。やや乱暴ではありますが、
大雑把に申し上げてこのあたりが、家計の国債保有額の上限と考えて
よいのではないでしょうか。

これに対し、国は820兆円の国債を発行しているわけですが、
日本の場合その大半(約770兆円)は、私たち家計を中心にした
国内勢が保有しています。

従来よく「日本国債はその大半を国内勢が保有しており、
彼らが買い続ける限り、国債は安定的に消化される」といわれて
きましたね、しかし上記のように家計の純資産残高は1065兆円と、
国債の発行残高820兆円との差額は既に245兆円でしかなく、どうやら
未来永劫に「安定消化」とはいかないようです。

仮に毎年35兆円の国債発行を迫られるとすれば、7年(245÷35=7)
で枠は埋まってしまい、家計の国債購入余力はその時点で
尽きてしまうことになります。

もちろん国債の買い手は家計だけではなく、企業や公的部門、
あるいは(禁じ手ではありますが)日銀も居るわけです、
従って上記のとおり7年ということはないでしょう。

ただ確かにこのペースで行けば、ここ10年内外で国債の
引き受け手は、国内には見つけにくい状況になると考えて
おくべきではないでしょうか。

では上記のような客観的数値に基づいて、私なりにいくつかの
シナリオを考えてみたいと思います・・・もちろんここからは、
私の象像の世界です。

◇シナリオ1「楽観シナリオ」
政府は消費税の増税や年金のカット、「事業仕分け」等による
予算削減などを組み合わせ財政再建を断行、その結果、
「基礎的財政収支」は均衡し、財政赤字の危機は去る。

◇シナリオ2「一般シナリオ」
2010年台後半まで政府は財政赤字問題を先送り。201X年から長期金利と
物価は不気味に上昇を始める、一方で円も徐々に売られ、財政赤字
が大きな社会問題となる。世論は「赤字削減要求」に大きく傾き、
政府は消費税増税を含む抜本的な財政再建にとりくむが、経済の混乱
は収まらない。そこから我が日本の本当の苦痛は始まる・・・長くて
苦しい経済再建にむけた努力の結果、時間をかけて日本経済は正常化
の方向に動き出す。

◇シナリオ3「悲観シナリオ」
政府は財政再建の先送りを続け、やがて国内での国債消化は困難になる。
金利は徐々に上昇し、円もジリジリ売られるが、政府は抜本的な
手を打てない。201X年某月、著名ヘッジファンドが、大規模な
日本国債と円売りを仕掛け、金利は急騰、超円安に・・・国債の償還は
延期され、やがて政府はデフォルトを宣言、経済は混乱、IMFの支援を
要請する。


上記のシナリオのうち、最も可能性が高いのは「シナリオ2」だと
私は思います、この場合は上記のように一定期間、金利の上昇や円安、
インフレ状態の継続を想定しておく必要はありますが、少なくとも
『煽り系の人たち』がよくいうような、「シナリオ3」のごとき
破滅的シナリオの可能性は、それほどないとも思っています・・・
日本人はもっと賢明だと私は思っていますので。

ただ一方で、だからといって何もしなくてよいというわけではなく、
「シナリオ2」のような可能性を織り込んだポートフォリオに、
ここ数年かけて徐々に近づけてゆくという、冷静な対応が必要だと
私は考えています。

では、今回はこのへんで。
(2010年4月6日)




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