人はなぜ都市に集まるか
みなさんこんにちは。

一人の人間が造れる価値・・・

それはその人の持つ能力を越えることはないはず、
即ち1といってよいでしょう。

では人間が二人集まるとどうでしょう。

AさんとBさんはお互い補完し合い、刺激し合い、
その結果1+1以上の価値を生むことになる、
私たちはこのことを経験的に知っています。

ではこれにCさんが加わり三人になったとすれば
どうでしょうか。

AさんとBさんの間

に加えさらに

BさんとCさんの間
AさんとCさんの間


でも同様の1+1+αの価値を創造するチャンスが
生まれるわけですね。

さらにここにDさんが加わって四人になるとどうでしょう。

AさんとBさんの間
AさんとCさんの間
AさんとDさんの間
BさんとCさんの間
BさんとDさんの間
CさんとDさんの間


付加価値創造のチャンスは、上記のように6通りに
増えることになります。

さきほどの三人の組み合わせでは3通りのチャンスが
あったわけですが、そこに一人加わるだけで、チャンスは
3通りも増え合計6通りになることがわかります。

ではもっと参加人数を増やしてゆけばどうなるので
しょうか。

仮にn人の参加者がいたとしますと、n人から2人を選ぶ
組み合わせはnC2(本当は左記の2は小さな2ですが)で、
{n×(n-1)}÷2で計算できます。

念のため上記の四人のケースにあてはめますと

{4×(4-1)}÷2=6


となり、さきほどの「6通り」と一致しているのが
解ります。

ではいまn人の参加者がいるとして、そこに一人参加者が
加わる場合、組み合わせは何通り増えることになるでしょうか。

先ほどの式を用いますと

[{(n+1)×n}÷2]-[{n×(n-1)}÷2]


で求めることができます。

さらにこの式を変形しますと、最終的には「n通り」と計算
できます。

「計算式

[{(n+1)×n}÷2]-[{n×(n-1)}÷2]=n


要するに

「現在n人の参加者がいる場合、そこにさらに
一人参加することによって増える組み合わせの数はn通り」

ということになるわけです。

もっとかみ砕いていえば、『今既に30人が集まって何らかの
作業を行っている場合、そこに新たな参加者が一人加わると、
グループ全体としてみれば、さらに(1+1+α)×30のチャンス
が生まれる』このように言えるわけです。

では仮にもともと50人の参加者がいたとすればどうでしょう、
上記にチャンスは(1+1+α)×50となり、同じ一人でも、
その増加の効果は先ほどと比べ、(1+1+α)×20ぶんだけ
高まり、従って両者の差は20αです。

要するにもともとのグループの規模が大きければ大きいほど、
一人が加わる効果は大きくなるわけですね。

もちろん上記はあくまで可能性のお話しで、一人新たに加わった
からといって、参加者が全ての組み合わせを有効に活用するとは
思えません。

ただ可能性と選択肢が自己増殖的に増えてゆくという点で、
そこには大きな意味があるといってよいのではないでしょうか。

このようにして「あらゆるグループは新たな参加者を渇望する」
こととなり、これが私が考える「都市への人口集中」の理由です。

いまの世界を見渡しますと、ますます国家間あるいは地域間で、
付加価値の生産競争が激しくなってきているように思います。

生産効率を高めるため、都市はますます新たな参加者を渇望し、
その結果世界の主要都市で、人口は集中し続けると考えておくべき
ではないでしょうか。

では、今回はこのへんで。
(2010年5月25日)




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