ホーム > T's資産運用コラム > プラチナと銀
プラチナと銀
みなさんこんにちは。

今回は久々にコモディティのお話しをさせて頂きます。

4月にギリシャ不安が再燃して以来、再び金(Gold)に
対して注目が集まっているようですが、同じ貴金属の仲間
であるに関わらず、銀とプラチナへの注目度はイマイチです。

これはなにも市場が無知なわけではなく、ちゃんとした
合理的な理由があります。

銀やプラチナも、希少性が高く腐食しにくいという点で、
金と同様の性格をもっており、その点においては
金と同じく代替通貨としての資格を備えているといえるでしょう。

ただ金と違って銀やプラチナは、私たちの生活にとって
有益であるがゆえ、産業用金属として、身の回りにある
工業製品で幅広く使用されています。

本来通貨をいうものの役割の一つは「価値の尺度」です。

例えば定規がモノの長さを測る基準となるように、貨幣は
モノの価値を測る基準としての役割も持っているわけです。

定規のメモリが変化すると定規の役割を果たさないように、
貨幣そのものの価値が伸縮してしまえば、その役割を果たす
ことはできません。

金は銀やプラチナと違って、産業用途で使われる
ことはあまりありません。従って景気の変動による需給の
バランス変動から、金それ自体の価値が伸び縮みすることは
(あまり)ありません。

その点で金は他の貴金属と比べ、通貨として使いやすい
性格を備えているといえるでしょう。

逆にいえば、銀やプラチナは産業用金属としての
性格を併せ持っているがゆえ、かえって通貨として使いずらい
ということがいえるのではないでしょうか。

ただここ数ヶ月の貴金属の動きをみていますと、
ちょっと不思議なことに気づきます。

以下は4月1日時点の価格と、昨日の価格を比較したものです。

・金(1123.50→1223.75)+8.9%
・銀(17.69→18.43)+4.2%
・プラチナ(1660.00→1556.00)-6.3%

(注)かっこ内左側数字は2010年4月1日ロンドン市場終値、
同右側数字は2010年6月14日ロンドン市場終値。


4月1日を比較の起点としたのは、ギリシャ不安の影響を
みるためです。この間、銀とプラチナの方向性に明らかな違いが
みえますし、銀はむしろ金と似通った動きをしているといえます。

ちなみにリーマンショック時を挟んだ3ヶ月の変化も
みておきましょう。

・金(912.50→730.75)-19.9%
・銀(17.59→9.28)-47.2%
・プラチナ(1675.00→814.00)-51.4%

(注)かっこ内左側数字は2008年8月1日ロンドン市場終値、
同右側数字は2008年10月31日ロンドン市場終値。


まずリーマン・ショックのインパクトの大きさに、いまさら
ながら驚きますが、それはさておき、銀とプラチナはとても
似通った値動きをしていることがわかります。

リマーン・ショック時にプラチナと同じ動きをした銀が、
ギリシャ不安ではむしろ金と似通った動きをする・・・
ちなみにこの間、株や天然資源など、大半のリスク性資産は
値を下げています。

なぜでしょうか。

考えられる可能性は二つです。

一つ目は市場が銀を金の代替品として見始めた、
言い換えれば市場が銀の通貨代替機能に注目し始めたという
可能性です。

もう一つは短期の投機マネーが銀に流入した可能性です。

銀は金よりの市場規模は小さく、わずかな資金の流入で
大きく動きます、私の知る限り、大手のヘッジファンドが
銀買いのポジションを持っているという情報はありませんが、
中小のファンドとなれば話は別です。

1980年のハント兄弟による銀買い占めの例もあり、
多少気になるところではありますが、チャートの形状を
素直にみるなら、私は前者の可能性がより高いような気がします。

いずれにしても、もうしばらく値動きをウォッチして
おく必要がありますが、もしこの見方が正しいなら、
私たちの銀への投資スタンスも多少変える必要があるかも
しれませんね。

では、今回はこのへんで。
(2010年6月15日)




このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。

「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。

【購読登録】 メールアドレスご入力ください :
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。

totop