■夏の終わりと農産物
みなさんこんにちは。
今夏の異常気象で、小麦の価格が高騰しましたね。
小麦価格は6月末の1ブッシェル=450セント台から、現在では710セント前後
で推移しておりますので、この間約60%の上昇となっています。
ご参考までに以下は今年5月以降の小麦価格の推移です。
http://www.crbtrader.com/data.asp?page=chart&sym=ZWU10
この間の小麦価格上昇の主因は、8月にロシアが発表した
「小麦の輸出禁止」措置ですが、相場の高騰は小麦だけにとどまらず、
他の産品にも徐々に波及しつつあります。
例えば以下はトウモロコシ価格の5月以降のチャートですが、
これをみますと小麦価格と連動して上昇していることが
解ります、ちなみにトウモロコシ価格は6月末時点で、
1ブッシェル=330セント台から、現在では460セント台と約40%の
上昇となっています。
http://www.crbtrader.com/data.asp?&page=chart&sym=ZCU10
小麦に連動して、トウモロコシなど他の農産物が上昇する理由は
三つ考えられます。
まず一つ目は小麦価格上昇からの連想で、短期の投機マネーが
割安感のあったトウモロコシや大豆に流入したという点。
二つ目は畜産飼料として使用される小麦が高騰し、
代替的にトウモロコシなどの実需が膨らんだという点です。
小麦を牛のエサにしている農家が、エサを小麦から
トウモロコシなどに代える動きがあったわけですね。
三つ目は純粋な気象上の理由からで、これが一番
大きな理由です。
例えば世界最大のトウモロコシ生産国の米国では、つい
先頃までトウモロコシの今年の生産は順調だとみられて
いましたが、先日発表された米農務省の発表では、一転して
下方修正がありました。
農務省の修正は、8月のトウモロコシの生育期に高温多湿状態が続き、
思ったほど生産量が増えないとの見通しにたったものです。
米国とロシア・・・距離は離れていますが、天候不順という
意味ではやはりどこかでつながっているのかもしれませんね。
ロシアの熱波にしろ、パキスタンの水害にしろ、
米国の高温多湿にしろ・・・
世界の異常気象の根っこは同じ、世界の気象の振れ幅は年々
激しくなってきているように感じるのは私だけでしょうか。
現在のような世界の気候の『変動期』には、農産物価格が急騰し、
一方で例えば2009年~2010年前半のような、いわば世界の気候の
『安定期』には穀物の収穫量も増え、農産物価格は一時的に
下落する・・・
いわば地球の気象が『変動期』と『安定期』を交互に
繰り返すなか、投機マネーも手伝って農産物価格は大きく上下
に振幅する。
このような相場が今後も繰り返されると考えておくべき
ではないでしょうか。
もしこのような世界が今後も続くなら、私たちの農産物に
対する投資スタンスは、どうあるべきなのでしょうか。
ひとつの考え方として、Buy and Hold(注)は有効で、
例えば今年6月までのような気候の『安定期』は、逆張りの
Buyの好機といえるでしょう。
注)「安く買って長期間持ち続けろ!」という戦略
今後も世界の人口増加と、新興国の富裕化が進行し、
農産物の需給は長期的にタイトになるに違いありません。
世界の農産物価格は、気象の変動による大きな振幅を繰り返しながら
徐々に上昇してゆくことになるのではないでしょうか。
このような相場では、気候の『安定期』に安く買い、
長期で持ち続ける戦略が有効ではないかと思うわけです。
では、今回はこのへんで。
(2010年9月14日)
■このコラムが一週間早くお手元に届きます
当社代表の田中が週に一回お届けする無料メルマガ「一緒に歩もう! 小富豪への道」
は下記からご登録いただけます。
「T's資産運用コラム」と同じ内容を一週間早くご覧いただけます、是非ご登録ください。
『まぐまぐ!』から発行していますので、ご安心ください。
|
|
|