銀・・・30年ぶりの高値へ
みなさんこんにちは。

金(Gold)の価格が過去最高値を更新したね。

金の場合は投資対象としての認知度が高く、また最高値更新という
ニュース性もありますので、多くの方は注目しておいで
ではないでしょうか。

一方で同じ貴金属でも銀(Silver)はどうでしょうか・・・

実は銀も1オンス=21ドル接近で、30年ぶりの高値
に進みつつあります。

私は金と並んで、銀は大変興味深い投資対象だと思いますが、
残念ながら一般的な認知度はイマイチです。

銀は金と違って1980年に史上最高値40ドル台(注)をつけていますので、
現在の価格は過去最高値には遠く及びません、そういう意味でも
ニュース性に乏しいのでしょうね。

注)1980年当時は、米国のハント兄弟による投機的買占め
  が相場高騰の要因とされており、その意味で現在金と同様
  実質的に過去最高値といってよいかもしれません。

ではここで金に対する銀の優位点をいくつかまとめておきましょう。

まずマーケットのサイズが小さいところです、2009年版の
World Silver Survey(注)によりますと、2008年度の銀の
マーケットは約8.9億オンスに過ぎません、これは現在の銀価格で
円換算しますとおよそ1.5兆円となり、ソニーの時価総額
の半分程度にとどまります。これに対し金のマーケットの規模は、
およそ9倍ほどあります。

注)ゴールド・フィールズ・ミネラル・サービシズ社が年に一度発行する
  銀に関する年次レポート、現在は2009年版が最新

マーケットのサイズが小さい点は、価格の上下動が激しく
流動性に劣るなど、好ましくない側面もあるのですが、
一度上昇始めますと、金に比べより勢いよく上昇する
可能性があるわけです。

従ってこの点は、必ずしも金に対する優位点とは
いえないのですが、それでも貴金属の将来を信じる方にとっては、
優位点といってよいでしょう。

銀がもつ金に対する優位点の2つ目は、『銀は通貨であると
同時に産業用金属でもあるという点』でしょう。

金の需要の約73%が宝飾用や投資用途であるに対し、
銀の場合のそれは38%程度に過ぎません、逆に言えば
需要の大半は産業用途であり、この部分は基本的に
銀価格の影響をさほど受けることなく、世界の
GDP成長に連動して増加する傾向にあります。

かつて銀の主な産業利用は、銀塩写真用途でしたが、
デジカメの台頭により、既にこの用途は銀の需要全体の
12%以下まで低下しております、今後も銀塩写真需要は
減り続けるでしょうが、すでに需要への影響はさほど
大きくないといってよいでしょう。

むしろこれからは、太陽電池や電子機器など新しい産業用途
の拡大と、新興国の経済成長に伴う使用量の増加に、期待を
もってよいのではないでしょうか。

今後経済が回復するなら、銀の産業需要も
拡大し続ける可能性が高いといえるでしょう。

一方で銀に対するいくつかの懸念材料もあります。

その最大のものは、供給量の拡大傾向ではないでしょうか。

金の供給量は鉱山からの採掘量の減少に伴って、
ここ数年は減少傾向にあるのですが、銀の場合は逆で、
ここ数年南米を中心に鉱山生産量は拡大を続けております。

幸いにも現在は、供給の増加を産業需要の拡大や、
コインやETFなど経由の投資需要の拡大でバランスし、なおかつ
価格が上昇している状況ですが、今後再び経済のサイクルが
マイナスに転じるような場面があれば、銀相場は2008年型の
急降下を再現する可能性もあるでしょう。

以上みて参りましたように、銀は金の陰に隠れて
投資の世界では地味な存在ですが、相場は派手に動きます。

もし皆さんが世界経済に緩やかな回復を予想されるなら、
銀は皆さんによい投資の機会を提供してくれるのでは
ないでしょうか。




では、今回はこのへんで。

(2010年9月21日)




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