先進国の経済成長はなぜ止まるのか
みなさんこんにちは。

今回は少し怖いお話しをさせて頂きます。

歴史を振り返りますと、ある意味世界の経済は
先進国と新興国の対立の歴史だったという見方も
できるのではないでしょうか。

これは例えば今ちょうど日中間に横たわる諸問題や、
G20で取り上げられる議題の中にもみることができます。

新興国はある時期急速に成長し、やがて先進国との間で
経済的、政治的、軍事的な摩擦が生じるに至ります。

摩擦を生じつつも、やがて彼らは先進国の一員に組み込まれ、
今度は次に追いついてくる新興国との間で摩擦を起こすことに
なるわけです。

ではこの先進国と新興国の摩擦・・・そもそも
なぜ起きるのでしょうか。

仮に先進国がかつての新興国時代と同じ速度で、
経済成長を続けることができるなら、おそらく新参者の
新興国との距離は詰まらず、従って両者の間に摩擦など、
起こり得ないのではないでしょうか。

このように考えますと、先進国と新興国の経済摩擦は、
成長鈍化という先進国側の要因によって起きているとも
いえそうです。

ではなぜ先進国の経済成長は止まり、
新興国経済に追いつかれるのでしょうか。

この問題は先進国で起きる高齢化現象と、密接な関係が
あると私は思います。

例えば人は若いうちはモノやサービスを大量に消費すしますが、
老いるに従って消費の量は減ってゆきますね。

同様に生産という側面からみても、一般的に人は老いるに
従って活動が緩慢になります。

これは動物としての個体が持っているエネルギーが、
老化とともに減少してゆくからではないでしょうか。

いずれにしても一国の人口が高齢化することにより、
その国の経済活動は緩慢になり、やがて経済成長が鈍化してゆく
ことになるのではないでしょうか。

経済的に豊かになった先進国では、医療の進歩に伴って
平均寿命は延びますが、これは言い換えれば人口構成の
高齢化でもあるわけです。

一人一人の人生にとって平均寿命が延びるのは好ましいこと
ではありますが、逆にこれがその国の成長鈍化に
つながっているのではないでしょうか。

その結果、追いついてくる新興国との間でさまざまな
摩擦が生じる・・・考えてみれば皮肉なお話しです。

もう一点高齢化と並んで、先進国の経済成長を鈍化させて
いる要因は少子化ではないでしょうか。

モノやサービスを大量に消費・生産する世代の減少は、
一国の経済活動にとって好ましい影響があるとは思えません。

一般に欧州や我が国の現状をみると、先進国では少子化減少が
顕著にみられますが、果たして「先進国化と少子化」の間に
なんらかの因果関係は存在するのでしょうか。

つまり「なぜ国が豊かになると出生率が低下するのか」
という問題です。

そういえば我が国でも、私たちの親の世代は兄弟が
沢山いて、五人兄弟や六人兄弟などザラでしたね。

それが今では多くてもせいぜい三人まで、
わずか世代が一つ進むだけで、なぜ日本人はこれほど
子供を産まなくなってしまったのでしょうか。

女性の社会進出によって、子供を育てる時間がなくなった
からでしょうか・・・

むかしより教育にお金がかかるようになり、経済的にたくさんの
子供を産めなくなってしまったからでしょうか・・・

それとも晩婚化が進み、肉体的に多産が難しくなった
からでしょうか・・・

どれもこれも一理あるように思いますが、私は
本当の理由は別にあるような気がしています。

即ち先進国の少子化は、どこかで人口膨張を食い止めるため、
あらかじめ私たちのDNAに組み込まれたプログラムではないか・・・
ちょっと怖いですが、そんな空想です。

もし万が一そうなら、日本や欧州、米国などの経済は今後延々
として低成長時代が続き・・そしていずれ世界の富は均一化
に向かう、こんな推測もなりたつわけです。

ただこの推測はあながち悲観的な推測ではありません。

国同士の摩擦がなく、適度な人口を維持する世界・・・

これは私たちの子孫にとって、決して悪い世界では
ないと思います。



では、今回はこのへんで。

(2010年10月26日)




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