■チャンス膨らむエネルギー・セクター
みなさんこんにちは。
今回は久しぶりにコモディティのお話しを致しましょう。
たとえば私たちが新興国株への投資を行う場合、国別やエリア別の
投資配分は、実はさほど大きな問題ではありません。
むしろそれ以前の「新興国株に対してどの程度の配分を行うか」
という大枠の部分で、既に勝負はついているといって
よいでしょう。
これはどういうことかといいますと、皆さんが「インド株だ!
ブラジル株だ!、果てはカザフスタン株だ!」などといって
いくら凝ったポートフォリオをつくったところで実はそれほど
大きな意味はなく、例えば新興国株を広く浅く網羅するETFを、
一銘柄保有しておくのと、さほど大きな違いはないということです。
既に世界経済はグローバル化しており、よほど特殊な例は
さておき、ある新興国の株だけが他と違った値動きをするなど
ということは、まずありえません。
もちろんこれはごく大雑把なお話しで、厳密に言えば
例えばインド株とブラジル株で多少の値動きは異なるのですが、
ポーオフォリオ全体から大局を見渡せば、誤差の範囲と
いって差しつかえないでしょう。
ところがコモディティに関して言えば、誤差の範囲と達観して
しまうわけには参りません。
例えば貴金属と農産物。
貴金属は一種の代替通貨とみなされており、現在のドルを基軸とした
通貨システムへの不信任が、貴金属の上昇要因として働きます。
一方で農産物はどうでしょうか。
農産物に通貨代替機能が無いのは言うまでもなく、
かわって農産物相場を動かす最大の要因は、気象や新興国の
経済成長です。
従って理論的には、農産物は貴金属とは異なった動きを
すべきですし、実際に過去の値動きをみても、農産物と貴金属は
異なった値動きをする傾向にあります。
このような点で、コモディティは新興国株と違って、
『どのセクターを選ぶか』が、大変重要になってくるわけです。
そのような観点で、現在のコモディティ相場を見渡してみると
どうでしょうか。
果たして私たちはいまコモディティの、どのセクターを
注視しておくべきなのでしょうか。
まず金を中心とした貴金属セクターは、どうでしょうか。
特に最近は米国の金融緩和によって、相対的な貨幣の信認が
が低下していますね。
米国の金融緩和は当面継続せざるを得ないでしょうが、
やがてドル安や金融緩和の効果が表れ、米国の実体経済は、
徐々に足取りを強めてゆくと考えておくべきではないでしょうか。
この場合いずれ米ドルの信認は回復し、貴金属の中でも特に
金は、遠からず調整モードに入ると考えておくべきだと
私は思います。
では農産物セクターはどうでしょうか。
ご存知のように今夏のロシアの干ばつに始まり、
南米や北米でも異常な気象がみられるようになってきましたね。
それを見越して、既に農産物相場は不気味に上昇を始めていますが、
富士山でいえば、ようやく五合目といったところではないでしょうか。
私は農産物に関しては、短期的にも長期的にもまだ強気の
スタンスを崩してはいませんが、例えば今年の夏前ごろに比べると、
明らかに(特に短期的な)妙味は小さくなってきているように
思います。
代わって非鉄やエネルギーなど、世界経済とくに新興国経済の
成長に大きく引っ張られるセクターが、今後の有望な
投資先ではないかと私は思っています。
なかでもコモディティ界の大御所、エネルギー・セクターは
2008年8月の大崩れのあと現在に至るまで、目立った相場はありません。
原油でいえば1バレル=80ドル前半の比較的居心地の良い水準で、
完全なボックス圏です。
エネルギー・セクターの場合、貴金属や農産物に比べ圧倒的に
市場規模が大きいですので、ここいらが動き出すには、相応大きな
市場のエネルギーが必要になります。
現在の世界経済は、エネルギー・セクターを動かすにはやや力不足
ではありますが、これから来年にかけ、米国の景気回復が明確
になればどうでしょうか・・・
米国の景気回復は、即エネルギーの消費拡大を意味しますし、
マネーの世界でも、リスクの許容度は飛躍的に高まることに
なるでしょう。
いずれにしてもエネルギー相場にはプラスに働きます。
いまはまだエネルギー・セクターの相場を動かすほどの力は
市場にありませんが、上記のような環境が整ってくれば、
いよいよコモディティの本命であるエネルギー・セクターは
動き始めるのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2010年10月26日)
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