■中東の民主化と世界経済
みなさんこんにちは。
・タイ、1月12日、+0.25%、2.25%
・韓国、1月13日、+0.25%、2.75%
・ポーランド、1月19日、+0.25%、3.75%
・ブラジル、1月20日、+0.5%、11.25%
・インド、1月25日、+0.25%、6.5%
・中国、2月9日、+0.25%、6.06%
上記のように今年に入り、新興国の利上げのペースは
早まっているようにみえます。
注)左より、国名、利上げ実施日、利上げ幅、利上げ後の政策金利
私たちのようなデフレに悩む国の住人からすると、少々信じがたい
ことではありますが、新興国側の当面の問題はデフレではなく、
逆にインフレだといってよいでしょう。
食料価格は急騰し、エネルギーや地下資源の相場上昇に伴って、
あらゆる生活必需品の価格は月を追って上昇する・・・日々ギリギリ
の生活を営んでいる新興国の人たちには本当に気の毒なことだと
思いますし、彼らが持つ国家に対する不満はよく理解できます。
新興国のなかには、インドやブラジルなど開かれた民主主義国も
ありますが、アジアや中東、南米の一部には民衆に対して
抑圧的な国もまだまだあります。
特にそのような非民主的な国では、国民の不満が突如として
臨界点に達するケースがみられるようになってきましたね。
一昔まえ新興国の金融当局は、比較的自由な立場で金融政策をとって
いたように思いますが、いまではむしろ先進国以上に民衆の
不満に対して敏感になっているのではないでしょうか。
昨年来の新興諸国の急ピッチな利上げの背景には、
このような配慮が働いているのかもしれませんね。
いま中東で起きている民主化運動の帰結を予想することは
難しいことですが、少なくとも今後ますます新興各国、なかでも中国
においてより大衆迎合的な金融政策がとられる可能性が高いのでは
ないでしょうか。
現状における大衆迎合政策とは、即ち金融引き締めのことです。
中国をはじめとした新興国の、当面にして最大のテーマはインフレ抑制
であり、そのために彼らは今後も利上げを続けざるをえないでしょう。
その結果新興国の景気は減速し、国際商品市況は徐々に落ち着きを
取り戻す・・・このようなシナリオをメインに据えてよい
のではないでしょうか。
一方で利上げを早く進めすぎ、逆に薬が効きすぎた
場合はどうでしょうか。
この場合、新興国の景気は後退をはじめ、
世界の経済もまた後退期に入るでしょう。
ただ逆に景気後退は新興国の国民の不満のレベルを高めますから、
このような景気後退も彼らにとって、インフレ同様に受け入れ
難いものになるはずです。
つまり新興国は『インフレ抑制』と『適度な経済成長』の組み合わせ
という細い道の上を歩まざるをえず、そのどちら側に転げ落ちても、
民衆の不満にさらされるわけです。
もちろん十分にその可能性もあるわけですが、すくなくとも彼ら
は強い緊張感をもった政策運営を余儀なくされるはずです、
なかでも中国の危機意識は相当高いはずです。
その点で世界の景気循環は、多少マイルドなものに
なる可能性はあるのではないでしょうか。
以上期待を込めて・・・
では、今回はこのへんで。
(2011年2月16日)
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