■次の景気後退のトリガーは
みなさんこんにちは。
もし皆さんが株やコモディティなど、景気変動に対して
正の相関性をもつ金融商品を保有していらっしゃるなら、
景気の後退は資産を減らす大敵となります。
景気後退に対する耐性を高めるために、私たちが
取りうる運用手法は、以下の3つに絞られるといって
よいのではないでしょうか。
まず一つ目は分散投資です。
景気サイクルに対して逆の相関性を持つ資産、例えば債券など
への資産の分散、あるいはそもそも景気サイクルの影響を
受けない資産、たとえばヘッジファンドなどへの分散投資も
有効でしょう。
二つ目は超長期を視野においた積立投資です。
確かに積立投資は景気変動の影響から逃れる一つの手法では
ありますが、積立投資の結果資産が増えて参りますと、
いずれ景気変動によって、皆さんの資産額の増減は
徐々に大きくなってゆきます、つまり積立投資は、あくまで
初期の段階のみに有効な手段といってよいでしょう。
それでもスタート時点から景気サイクルの影響をモロに受ける
一括投資に比べると、多少精神面でのハードルは低いかもしれません。
三つ目は景気サイクルに合わせて持ち高を調整する手法です。
この場合最も大切なのは、景気後退の予兆をいかにして
感じとるか、さらにその予兆を感じた場合、いかにしてご自分の
欲望を制御して持ち高を減らすことができるか、この2点に
尽きるよいってよいでしょう。
ではそのような視点で今回の景気回復期をみるとどうでしょうか。
景気後退の予兆はすでにあるのでしょうか、
それとも当面は心配する必要などないのでしょうか。
リーマン・ショック後の2009年前半に、景気は反転回復むかい、
現在世界の景気は徐々に足取りを強めているようにみえますが、
景気はそもそも循環的なもの、今回の回復期もいずれ必ず
終わり景気は後退期に入ります。そして将来の景気後退の芽は、
通常このような回復期に徐々に育っているものです。
ではその芽はいったいどこにあるのでしょうか・・・
私は次回の景気後退のトリガーは、行きすぎる資源価格
の上昇によってもたらされる可能性が高いと思っています。
エネルギーや産業用金属、農産物などの値上がりは、
ある程度までは許容範囲でしょうが、ある敷居値を越えますと、
消費を冷やし、企業の生産活動は抑制され、やがては
景気後退期へとつながってゆくことになります。
ご参考までに前回の景気サイクルと国際商品相場の
動きを振り返っておきましょう。
前回の景気後退期入りは2007年の後半で、
CRB指数が高値をつけたのは2006年の前半でした。
つまりコモディティ相場の高騰から、1年半ほど
ずれて世界の景気は後退期入りしたともいえるわけです。
もちろん前回の景気後退は、米国発の金融バブル崩壊とう
特殊要因がありましたので、コモディティのみで景気後退を
語るのは、いささか無理があるでしょう。
ただ国際商品相場と世界景気の間に、因果関係がなかったとも
また言い切れないのではないでしょうか。
このような視点で現在のコモディティ相場をみると
どうでしょうか。
商品相場をCRB指数ベースでみますと、既に相場高騰期の
2006年前半のレベルに近づきつつあります。
前回は商品相場高騰期から景気後退期入りまで、約18ヶ月を
要しました。
仮にこの18ヶ月間が、商品相場が波及的に景気に影響をあたえる
時間差だと考えるなら、次回の景気後退は2012年後半あたりという
見方もできるのではないでしょうか。
一つのシナリオとして、現在起きている商品相場の上昇は
徐々に世界の景気を冷やし、2012年後半あたりから、世界は
景気後退期に入るというイメージは持っていてもよいのかも
しれませんね。
米国を例にとると、今回の景気回復は現在で16ヶ月目に
過ぎませんが、2012年後半時点では、35ヶ月ほど回復期が続いて
いることになります。
これに対し戦後の米国景気回復期間の平均は約60ヶ月、
時間軸だけでみると、さほど大きな違和感はありません。
いずれにしても景気回復期にこそ、次の後退期にむけた準備を
心掛けておくべきではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2011年2月23日)
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