■私がマネージド・フューチャーズを使うわけ
みなさんこんにちは。
前回に続き、今回も資産運用における私のポリシーに
ついて書かせて頂きます。
前回は
・景気変動に合わせて価格が上下動する『サイクル性資産』
・景気変動の影響を受けない『非サイクル資産』
への戦略的な分散についてご説明させて頂き、さらに
『非サイクル資産』は主にマネージド・フューチャーズを
活用するという考え方をご紹介しました。
今回はさらに一歩踏み込みまして、なぜ私が
マネージド・フューチャーズを使うのかという点に
ついてご説明いたします。
マネージド・フューチャーズは、前回ご紹介したように
トレンド・フォロー型運用戦略をとるヘッジファンドの一種で、
相場の上昇時には「買い」で対応し、相場の下落時には
「売り」で対応する、一種の「順張り型」のヘッジファンドです。
従って相場の上昇時、下落時に収益を上げることができる一方で
相場の転換点で損失を計上するという性格を持っています。
ヘッジファンドはそもそも「景気変動の影響を受けない
金融商品はつくれないものか」というニーズに基づいて
造り出されたファンドで、既に50年以上の歴史を持っています。
当初は株式の売りと買いを単純に組み合わせただけの
□株式ロング・ショート
が中心でしたがその後の金融技術の向上に伴い、さまざまな
ヘッジファンド戦略が開発されてきました。
例を挙げますと
□債券裁定
□転換社債裁定
□イベント・ドリブン
□グローバル・マクロ
□ファンド・オブ・ヘッジファンズ
それに加えて私がよく使う
□マネージド・フューチャーズ
などです。
では数あるヘッジファンドの戦略のなか、私が主に
マネージド・フューチャーズを使う理由をご説明
致します。
いくつかの理由があるのですが、まず第一点は流動性
の高さと安全性です。
いくら景気サイクルの影響を受けないといっても、
もしものときに換金できなかったり、投資したお金が
戻ってこなければ元も子もありません。
例えば2008年のリーマン・ショック時に、多くのヘッジファンド戦略
が、いわゆる『流動性の枯渇』に見舞われました、これはファンドが
保有する資産が市場で値がつかなくなり、解約の一時停止に追い込ま
れるといった現象です。
当時は市場全体が疑心暗鬼に陥り、健全性に欠く資産だけでなく、
健全性において問題が少ない資産まで、一時的に市場で値がつかない
状況になりました。
その結果多くのファンドで、この『流動性の枯渇』が
みられたわけです。
これに対しマネージド・フューチャーズはどうだったでしょうか。
マネージド・フューチャーズは、そもそも集めた資金の
(一般的には)20%程度しか積極運用しておらず、資金の大半は
短期債を中心にした高い流動性をもった金融商品に退避させて
います。
確かに積極運用部分は先物市場に証拠金として差し入れ、
高いレバレッジを活用した運用を行っているのですが、
その裏側で大きな安定運用資産を保有しているがために、万一
投資家からの大量解約請求を受けた場合でも、『流動性の枯渇』
を避けることができるわけです。
もっとも2008年のリーマン・ショック時、マネージド・フューチャーズ
は絶好調でしたから、ほとんど解約請求は無かったのですが・・・
また万一ファンドが破綻した場合、市場に差し入れている証拠金部分
(言い換えれば積極運用部分)や、その他の高流動性部分(安定
運用資産)は、ファンドとは分別して管理されていますので、
マネージド・フューチャーズの運用主体が破綻しても、
投資家が被るダメージは限定的です。
私がマネージド・フューチャーズを好むもう一つの
理由は、運用資産の大きさや運用キャリアの長さです。
景気サイクルが一回転するには、概ね5年程度の期間を要します、
つまりそもそも「非サイクル資産」は5年程度以上保有しなければ、
その効用を実体験として理解することはできません。
言い換えれば少なくとも5年以上の運用実績があって、
始めてそのファンドの評価が可能になるとも言えるわけです。
その点マネージド・フューチャーズは長期の運用実績を
持つものが多く、その運用資産総額とあわせ、高い安全性の
裏付けとなっているのではないでしょうか。
繰り返しになりますが、いくら景気サイクルとの連動性が
小さいといっても、その継続性や流動性に難があれば、
保有する理由はみあたりません。
このような観点で私は「非サイクル資産」として
マネージド・フューチャーズを多用しているわけです。
では、今回はこのへんで。
(2011年4月12日)
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