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始まった綱引き

私はそろそろ来年の相場について
考えています。

来年の相場の焦点が、欧州債務不安で
あることは間違いないところでしょう。

物理現象に作用と反作用があるように、
私は経済においても作用に対して反作用があると
思っています。

従って来年の相場について考える場合、
私たちはこの欧州問題の反作用についても、
考えに入れておく必要があるのではないでしょうか。

欧州の実体経済の悪化懸念から、
世界的な景気スローダウンが予想され、
一時過熱感があった物価に安定化の兆しが出てきましたね。

特に顕著なのは中国で、年央6%を越えていた消費者物価の
上昇率は徐々に低下し、直近11月度は4.2%の上昇と、
既に政府目標の4%に近付いてきています。

昨年来中国は金融引き締め策をとってきましたが、
インフレ鎮静化によって、ようやく緩和的な金融政策に転じる
余地が出てきたわけです。

さらに同国の経済成長率は鈍化し、直近7-9月期の
値は9.1%にとどまりました。欧州問題が中国の経済成長に、
ブレーキをかけていることは間違いないでしょう。

我々日本人からするとちょっと考えられないことですが、
今のところ中国では、8%成長が必達ラインといわれています。

その点でも中国の当局には、従来の引き締め策から
緩和政策に転じる動機があるわけです。

皮肉なことに欧州の債務不安によって、中国が成長重視路線を
とりやすい環境が整いつつあるといってよいのではないでしょうか。

事実中国は、昨日閉会した年に一度の「中央経済工作会議」
において、従来のインフレ抑制から、経済成長に政策の重心を移す
姿勢をにじませました。

この政策転換は、広い意味で欧州問題に対する反作用といって
よいでしょう。

中国ばかりではありません。

以下は最近の各国の金融緩和の動きです。

◇8月 ブラジル    利下げ(12.5%→12.0%)
◇10月インドネシア 利下げ(6.75%→6.50%)
◇10月ブラジル    利下げ(12.0%→11.5%)
◇11月豪州      利下げ(4.75%→4.50%)
◇11月インドメシア 利下げ(6.50%→6.00%)
◇11月タイ      利下げ(3.50%→3.25%)
◇11月中国      預金準備率0.5%引き下げ
◇11月ブラジル    利下げ(11.5%→11.0%)

このように新興国を中心として、すでに軒並み金融緩和に
転じてきております。

目いっぱい緩和しきっている先進国と違い、
これらの国では、来年も金融緩和策を続ける可能性が
高そうです。


欧州問題という作用。

それに対して起きる反作用、
即ち新興国を中心とした金融緩和との間で、
どのような揺らぎが生じるか・・・

来年の相場について考える場合、
ここの見極めは重要ではないでしょうか。

来年の相場予想は、そのような観点で組みたててゆきたいと
思います。




では、今回はこのへんで。

(2011年12月15日)




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