■低金利の真相は
みなさんこんにちは
私はメーカー勤めが長かったせいか、
日本の銀行に対する印象はよくありません。
メーカーは少しでも研究開発や製品化の努力を
怠りますと、消費者から見放され一気に衰退して
しまいます。
それだけ厳しい世界で生きることを、
宿命づけられているといってよいでしょう。
これに対して銀行、特に日本の銀行は
どうでしょうか。
自らリスクをとって、収益を挙げること、
新しい領域を開拓し、そこで収益を挙げること、
新しい商品を開発して、将来の収益の柱を育てること、
メーカーが長らく行ってきたこのような当たり前の努力を、
果たして彼らは行っているのでしょうか。
いまだミエミエの横並び意識。
特に大手行に漂う、万一のことがあっても
その時は政府が救済してくれるだろうという甘え。
そのような体質をもっていないと
言い切れるでしょうか。
そして今我々を不安にさせているには、
いつもながら横並び、すなわち安易な国債の購入です。
その積み重ねが現状で、昨年末時点で(郵貯以外の)国内の銀行の
日本国債保有残高は、163兆円にも膨らんでしまいました。
年利0.3%で集めた預金で、
利回り1%の国債を買う・・・
一面では確かにノーリスクで確実にサヤが
抜けますが、これだけ積み上がった保有国債は、
既に立派なバランスシートの不安定要因です。
日銀の試算では長期金利1%の上昇によって、
大手行だけで3兆円の損失が発生するとのこと。
三菱UFJ銀行は、既に日本国債急落に備え「危機管理計画」
を策定したそうですが、どうせいつもの横並び、いずれ大手他行が
作るであろう計画にも「金利上昇の兆候が見られれば、
長期国債の売り」と書かれることは間違いないでしょう。
かくして待っているのは日本国債の一斉売り・・
まさかその「危機管理計画」に、「最後は政府による公的資金での
救済を待つ」とは書いていないでしょうが、いつものことながら、
公的資金の最終的な出し手は国民です。
確かにこれだけ大量の国債保有は、いわば銀行が本来行う
べき業務をないがしろにしてきたことの結果です、
金融機関の罪は重いといわざるをえませんが、一方で国債の
発行側にも問題はあるのではないでしょうか。
そもそも買い手がいなければ、金利はとおに上昇しており、
政府はこれほどまでの放漫財政を維持できなかったはずです。
言い換えれば金融機関と政府のもたれ合いの構造です。
さらに言えば「国家による過剰なサービス」という分け前に
あずかる国民も、あえてこの構図に異を唱えてこなかった・・・
これが我が国の低金利の真相ではないでしょうか。
そのように考えますと、
この問題なかなか根が深いようです。
では、今回はこのへんで。
(2012年2月7日)
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