■インフレの足音
みなさんこんにちは。
朝めが覚めて仕事にでかけ、
仕事を終えて家に帰る、
夜が来るとまた眠る、
そして今日も一日が過ぎてゆく・・
いつもの単調な日々を過ごすなか、
私たちはよほど目を凝らしていなければ、
日常に起きる変化にとんちゃくしないものですが、
あとから考えてみて初めて潮目の変化を感じることも
あります。
例えば先週の日銀政策決定会合。
この会合で日銀は大きな決断をしたようですね、
具体的に申し上げれば以下の2点です。
1.10兆円規模の長期国債買い入れ枠の追加設定
2.物価上昇めどを年率1%とする
まず2に関して申し上がれば、日銀が米国(FRB)に追随し、
事実上のインフレターゲットを設定したということで、
歴史的にみてこれは特筆すべき決定だったと思います。
より明確にデフレからの脱却を意識した政策にむけ、
いよいよ日銀は腹をくくったのではないでしょうか。
この方針を具体化させたものが、1の流動性供給という
ことでしょう。
今回の国債購入枠の拡大は、もちろん拡大そのものに
も意義はありますが、それ以上にインフレ率1%を達成するまで、
継続して市場にマネーを供給してゆくことを宣言したという
意味において、より重要ではなかったでしょうか。
つまりまずは10兆円、それでも物価上昇1%に至らない場合は、
さらに10兆円ということでしょう。
これを受け既に先週来、円安方向に進みつつありますが、
もっともな反応だと思います。
この決定は国内の物価上昇率という観点だけでなく、
為替という観点においても、潮目の変化点になるやも
しれません。
そしてさらに世界に目を転じれば、
昨年末ECB(欧州中央銀行)が行った50兆円のマネー供給。
そして先月末FRBが発表した、物価目標の設定とゼロ金利の
時間軸政策。
さらにはこのたびの日銀による、物価目標設定および
マネーの供給。
これで日米欧3極による、より明確な金融緩和策が出そろった
ことになります。
1990年代後半から2003年にかけ我が国で起きた金融不安、
そして2008年のリーマン・ショック、
さらには2009年以降続く欧州金融不安・・・
危機が起きる都度、先進国は金融緩和を強化して参りました。
仮にいま起きている欧州不安が解消したとしても、
それは先進国全体でみれば一時的なこと。
先進国経済の成長鈍化という根本的な問題が取り除かれない限り、
今後も信用不安は形を変え、あるいは場所を変え、
繰り返し起きるのではないでしょうか。
そしてその都度行われるであろう流動性の供給・・
かくして紙幣の価値はますます薄まり、
その対極にある実物資産の相対的価値は上昇し続ける。
ものごとが起きている途中において、
その潮目の変化を感じ取ることは容易なことではありません。
が、いち早くその潮目を読み取ったものだけが得られる果実も、
あるのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2012年2月21日)
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