コイン相場からみる中国経済

みなさんこんにちは。

たかがコインといってバカにしてはいけません、
希少なコインの中には驚くほど高価なものもあります。

例えば我が国の明治3年以降に発行された旧20円金貨、
状態の良いものですと軽く1000万円を超えます。

値段もさることながら、コインの相場の推移をみておりますと、
いろいろなことが見えてきて面白いですよ。

例えばコイン相場とその国の経済力の関係です。

そもそもコインの相場は何によって決まる
のでしょうか。

例えば

金や銀などの地金価格の上昇、
あるいは市場に溢れたマネーの流入、
さらには国民が豊かになることによる購買力の上昇、

これらがコイン価格の上昇要因で、簡単に申し上げますと、
その国の経済状態がコイン価格に大きな影響を与えると
いってよいでしょう。

ですからコイン相場の推移をじっと見ておりますと、
その国の経済の状態を感じることができるという
わけです。

例えば我が国のコイン相場を見ておりますと、
あの懐かしいバブル崩壊以降、目立った上昇がない
ばかりか、冒頭ご紹介の金貨などは、金の地金相場が
上昇しつづけるなか価格はむしろ下落傾向にあります。

これは財務省が保有していた金貨を、
2005年以降オークションで売却し続けたという特殊要因も
ありますが、まあ四捨五入して申し上げれば、それも
日本の経済力低下と無関係ではないでしょう。

これと対照的なのが新興国で、なかでも数年前の
ロシアのコインは驚くほどの上昇をみせました。

当時は原油価格が高騰し、ロシアでは数千万円もする
携帯電話やクルーザーなどがバンバン売れた・・・
まさにあの時期です。

原油価格の上昇など資源高で潤った人たちが、
競ってコイン相場を吊り上げたのでしょう。

その後は皆さんご存知のように、リーマン・ショックを
挟んだ原油価格の暴落があり、ロシアのコイン相場は
急落しました。

ただ昨年以降ロシアのコイン相場は持ち直しています、
これも原油価格の上昇が大きく影響しているとみて
間違いないでしょう。

このようにロシアのコイン相場は資源価格、なかでも
原油相場との相関性が高いのですが、お隣の中国に
ゆきますと少々事情が違って参ります。

中国のコイン相場で特筆すべき年は、まさに昨年だった
といってよいでしょう。

例えば「大清銀幣」という、清朝末期1800年代後半に発行
された銀貨があります。

昨年あるヨーロッパのオークションでこのコインが
競売にかかったのですが、当初の落札予想値100ユーロに対し、
実際の落札価格は8000ユーロと驚くような値がつきました。

あるいは同じく昨年末、我が国「銀座コイン」のオークションに
かけられた袁世凱のコイン6枚セット。こちらは予想値5000円に
対して落札価格は何と55万円でした。

いずれも中国人による落札ではなかったでしょうか。

ただし調子がよかったのはそこまで、
その後は中国コインの相場は急降下しました。

中国のコイン相場はロシアと違って、
国内の不動産市場の影響を受けやすいようですね、
ご存知のように中国では昨年不動産への投資規制を強化し、
一部の都市では不動産価格は急落しました。

同国の場合人口密度が高く、都市部の不動産に対する
ニーズも高く、これは日本同様に構造的なものではないでしょうか。

そして一旦金融が緩和され過剰なマネーが市場に供給されますと、
不動産相場は急騰しやすく、不動産一旦集積され、かつ増幅された
マネーが、他の投機対象に流出するという構図があるようです。

簡単にいいますと中国において不動産は、
マネー循環のポンプのような役割を担っている
のではないでしょうか。

不動産価格の高騰時には、不動産内部で増幅されたマネーが
激しく放出され、逆に不動産価格の下落時には、一気にその
流出が止まり、株やコイン、美術品などの相場が急落するという
イメージです。

仮にこの見かたが正しければどうでしょうか。

ここのところ中国当局が最もいやがるインフレも
やや落ち着きをみせていますし、不動産価格の過熱感も徐々に
薄れてきています。また地域によってですが、不動産への規制を
ゆるめようとする動きもみられます。

今後また当局が規制を緩和し、不動産相場が反転する
ようなことになれば、再び中国のコイン相場も反転する
可能性はあると私は思います。





では、今回はこのへんで。


(2012年3月1日)




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