■30%の負けをとり返すには
みなさんこんにちは。
例えばここにAというファンドがあったとしましょう、
ファンドAの過去6年間のリターンが
・2006年(−30%)
・2007年(+30%)
・2008年(−30%)
・2009年(+30%)
・2010年(−30%)
・2011年(+30%)
だった場合、このファンドはこの6年間で、いったい
どれだけのリターンをあげたことになるでしょうか。
この間のリターンの単純平均(注)はゼロ%ですので、
一見しますとトータル・リターンもゼロになるような気がしますが、
実はそんなことはありません。
注)この場合は各年のリターンをたし、6で割った値。
仮にファンドAが1000円で運用をスタートした場合、
2011年末には753円となり、この6年間で約25%の負けと
なってしまいます。
なぜこのようなことが起きてしまうのでしょうか・・・
簡単にいってしまいますと、30%の負けは30%の勝ちで
とりかえすことができないということです。
例えば2006年をみてみましょう、ファンドAは1000円
で運用が始まりますので、2006年末には30%減って700円
で終わっているはずですね。
これに対して2007年は30%の勝ちですから、
同年末には910円になっているはずです。
700円×1.3=910円
初年度に30%減って、2年目に30%増える・・・
その結果2年のトータルで9%の負け
というわけです。
なぜこんなことになってしまうのでしょうか、
ちょっと不思議な感じですよね。
簡単に言いますと発射台が違うので、
同じ30%でも、その絶対額が違ってくるからです。
具体的にいいますとこうです。
2006年の発射台は1000円ですから、その30%は
といいますと300円になります。
これに対し2007年の発射台は700円に減っていますから、
同じ30%増でも210円しか取り返せないというわけです。
この700円という低い発射台から、初年度の損失分300円を
取り返そうとしますと、30%ではなく約43%のリターンが
必要になってしまいます。
1000円÷700円≒1.43
もっと簡単にいいますと、0.7を1に戻すためには
+30%ではなく、+43%が必要だということです。
30%へこんで0.7になった場合、30%の勝ちで取り返せそうに思いますが、
実はこの負けを取り返すためには43%の勝ちが必要だというわけですね。
ご参考までにプラスとマイナスの順番を入れ換え、
・2006年(+30%)
・2007年(−30%)
・2008年(+30%)
・2009年(−30%)
・2010年(+30%)
・2011年(−30%)
としても、2011年末時点のファンドAの時価は753円で、
冒頭のケースと同じ結果です。
では続いて応用問題です。
ここにBというファンドがあり、このファンドはファンドAより
ブレ幅が小さく、下記のように毎年プラス10%とマイナス10%の
間で振幅するとします。
・2006年(+10%)
・2007年(−10%)
・2008年(+10%)
・2009年(−10%)
・2010年(+10%)
・2011年(−10%)
この場合のファンドBも、各年のリターンの単純平均はAと同じく
ゼロです。
さてファンドBとファンドA、どちらのトータル・リターンが
高いでしょうか。
答えは圧倒的にBの勝ちで、この場合の2011年末時点の
ファンドBの時価は約970円と、さきほどのファンドAの
ケース753円を大きく上回っています。
日常的な感覚とは少々違いますので、皆さんのなかには
少し戸惑われた方もいらっしゃるかもしれません、
ここから導き出せるのは、毎年のブレが小さいほど
(単純平均が同じでも)結果的に高いリターンが得られる
ということです。
イメージで申し上げますと、例えば
・1年目+40%
・2年目−30%
・3年目+50%
・4年目−40%
・5年目+35%
・6年目−25%
という成績より
・1年目+20%
・2年目−10%
・3年目+10%
・4年目±0%
・5年目+15%
・6年目−5%
のほうがずっといいということになります。
ちなみに上記の単純平均はいずれも5%ですが、
6年間のトータル・リターンは前者は−10.7%、
これに対し後者は+29.8%となります。
皆さんが資産を運用される場合、もちろん単年度の
リターンも重要ではありますが、毎年のブレ幅の重要性も
理解しておく必要があるのではないでしょうか。
では、今回はこのへんで。
(2012年4月24日)
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