欧州問題のゆくえ

みなさんこんにちは。

連休まえあたりから、再び欧州の問題が世界の金融市場や
商品市場を揺るがしていますね。

いくらドイツやフランスが手を差し伸べても、
当のギリシャが苦い薬を飲みたがらないわけで、
これはもうどうしようもありません。

以前はギリシャのユーロ離脱が、最悪のシナリオと考えられて
きましたが、ここのところ徐々にメインのシナリオとして
意識されつつあるようです。

ギリシャのユーロ離脱・・・

ギリシャがハイパーインフレに陥ろうが、
新ドラクマがたたき売られようが、それはギリシャ人が
好んで選んだ結果です。

我々からみるとどうでもよいことなのですが。


ギリシャのユーロ離脱

ギリシャのデフォルト

ギリシャに債権を持つ欧州銀行の経営不安


というルートや


ギリシャのユーロ離脱

スペインやポルトガルに同様の懸念

南欧諸国全般に信用不安の拡大


というルートで、世界の金融市場は再び混乱に陥る
可能性があるといわれています。

が、果たしてそうなのでしょうか・・・

すでにギリシャの特異性については、世界中が認識しつつ
あるように思います。

国が危機に陥っているのを横目に、既に国家レベルで
EUと約束した財政再建を、早々に反故(ほご)にする。

反故にしようとしているのは先日の選挙によって選ばれた
政治家達ですが、それも民意の反映・・・つまり反故にしよう
としているのは国民自身です。

そもそも緊縮財政は長年の放漫財政の結果ですし、
その間国民はさんざんに放漫財政の果実を享受し続けて
きたはずです。

その結果としての緊縮財政は受け入れず、
デモをやる、
ストライキをやる、
挙句の果てに選挙で約束撤回の意思表示をする。

まったくやりたい放題で、やはりギリシャという国は、
よほど特殊な国なのではないかという気がします。

少なくともここ数カ月は、世界的に徐々にそのような
共通認識ができあがりつつあるのではないでしょうか。

世界的に定着しつつある”ギリシャ特異論”。

いまの状態でギリシャがユーロを離脱したとしても、
必ずしもポルトガルやスペインに波及するとは
言い切れないのではないでしょうか。

もちろん市場は気分で動くもの・・・一時的な市場の
混乱は避けられないでしょう。

ただギリシャをユーロ内にとどめ、今後何年にもわたって
欧州や世界が支払い続けるコストと、ギリシャがユーロを離脱
することによる一時的コスト負担を比較した場合、私などは
どう考えても後者の方が安くあがるような気がするわけです。

相場も一時的に急落するでしょうが、世界の実体経済は
決して悪くはありません。その後は新興国の実体経済が牽引する形で、
健全な相場形成が期待できます。

むしろいま為すべきことは、ギリシャのユーロ離脱を前提に、
他の南欧諸国へ離脱懸念ドミノが拡散しないよう、
防火壁を構築することではないでしょうか。

仮にギリシャ国民が近い将来塗炭の苦しみを味わうようなことが
あれば、皮肉なことにそれが他の南欧諸国へのドミノ抑止力に
なるかもしれませんね。



さてギリシャでは来月早々にも選挙がおこなわれそうな
雰囲気ですが、果たしてギリシャ国民は強硬に約束を反故に
するのでしょうか。

それとも目の前に待ち受ける不幸な行く末に目をさまし、
常識ある選択をするのでしょうか・・・

いずれにしても十分な注意力をもって
みてゆきたいと思います。

(2012年5月8日)



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