■ヨーロッパ危機の帰結は
みなさんこんにちは。
欧州から初めて金融不安の情報が届いたのは、
確か2009年末あたりだったと記憶しています・・・
あれ以来すでに2年と半年が過ぎましたが、
欧州が世界経済をの不安定要因であり続けるという
構図は、一向に変わっていません。
しかもこの問題がやっかいなのは、最終的にギリシャを、
どう方向づけてゆくべきかという根本的な問いに対し、
欧州自身が何ら答えを見つけていないという点では
ないかと思います。
ギリシャをユーロ圏にとどめるのか、
とどめ置くとすれば、ギリシャ経済を独り立ちさせるのか、
あるいは今後も支援し続けるのか。
ギリシャをユーロから追い出すのか、
追い出すとすれば、一時的なショックにどう備えるのか、
あるいはユーロ離脱ドミノをどう防ぐのか。
単純に時間軸のみを比較しますと、すでにリーマン・ショックを
起点とする信用不安を超えていますが、それでもなおかつ
このような選択肢につき、具体的な検討が行われている
様子はみえません。
この2年半、私たちは欧州不安がいつしか決着し、
やがて世界は安定を取り戻すと考え続けてきましたが、
最近私はちょっと違う考えを持つようになってきました。
欧州の本質の一つは、その多様性にあると私は考えてきました。
なまじ多くの国が隣接し、その経済力も高いレベルで均衡して
いるので、あたかも一つの国家としてまとまれるかのような気がしただけ、
いわば経済統合は幻想にすぎなかったのではないでしょうか。
確かに開催中のサッカー欧州大会、EORO2012を観ていますと、
同じ競技に熱中するヨーロッパの国々がもつメンタリティは、
いかにも似かよっているような気がします。
アジアでは決してこのようにはゆかないでしょう。
一方で欧州の現実をみますと、たとえばドイツの主張とギリシャの
主張は真っ向から対立しており、この2国だけとってみても、
どう考えても経済的に一つにまとまれるとは思えません。
しかも両国ではそれぞれ議会によって政策が決定され、
さらに面倒なことに選挙のたび、世論が右に左に振れるという
議会制民主主義特有の不安定さもあります。
加えて実際には、フランス、イタリア、スペイン・・・
それぞれ異なる経済と議会を持つ国々によって、その都度
合意の形成が必要となれば、その集約はもう至難の業というべきで
はないでしょうか。
つまり私などは欧州の経済統合、言い換えればユーロそのものが
幻想ではなかったかという疑念も持つわけです。
一時的にサッカーで熱狂を分かち合うことはできても、
他国の借金を肩代わりできるかといえば、それは次元が違う
お話しだということでしょう。
少なくとも19世紀の共産主義国家樹立の幻想と同じく、
ユーロは人類にとって時期尚早というべき実験では
なかったでしょうか。
この考えに基づきますと、欧州の信用不安の最終的な解決策は、
皮肉なことにユーロの分裂、あるいはユーロそのものの放棄ということに、
ならざるを得ないのではないかという気さえします。
欧州の現状をみていますと、あながちこの悲観シナリオも
否定できないのではないでしょうか。
少なくとも私たち日本人も、このような可能性に対し、
無頓着でいるべきではないでしょう。
では、今回はこのへんで。
(2012年6月12日)
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