■資産運用に王道はあるか
みなさんこんにちは。
成熟期を迎え成長が鈍化する先進国経済、
一方で先進国に追いつこうとする新興国経済。
この組み合わせは、今後も世界経済の不安定要因であることは
間違いないでしょう。
景気後退のたび、先進国の中央銀行はマネーの供給量を増やし、
そのことが世界中のマネーの価値を薄め続けてきました。
特にこの傾向はリーマン・ショック以降顕著で、2008年以降、
日米欧の中央銀行の総資産は倍増しています。
マネーの価値の希薄化・・・すなわちインフレは新興国側で
深刻な社会問題となりました。
原油や穀物、非鉄金属などあらゆる国際商品相場が高騰し、
社会問題を引き起こしました。ますます発言力を増す新興国経済に対し、
先進国側も以前のように、野放図にマネーの供給を拡大しにくい
状況になっているといってよいでしょう。
さらに財政状態の悪化もてつだって、先進国側の景気浮揚策は
中途半端に終わらざるをえません。景気が回復するまえに次の後退期に入る
という、悪いサイクルに陥っているようにもみえます。
加えて世界的規模で増殖したマネーは、強欲な市場参加者の
遊具となり、マネーが実体経済を翻弄する異様を呈して
いるといってよいでしょう。
かくして景気後退のたび、世界のどこかで金融不安が起きやすい状態
は続き・・・不幸なことにこの現状は、近い将来において解消される
明るい見通しはありません。
このような環境のなか、
私たち先進国の住人は、今後の資産運用や資産防衛を、
どような前提にたって考えておくべきなのでしょうか。
1990年代後半から2003年まで我が国で起きた金融不安、
2007年から2009年にかけて米国で起きた金融収縮、
そして2009年に始まり、いまだに出口が見えない欧州金融不安。
現在進行中の欧州問題も、いずれ時の経過とともに
収束にむかうでしょう。
ただし残念ながら冒頭申し上げたように、そのあとも世界経済は、
依然として不安定な状態が続くのではないでしょうか。
米国か、
日本か、
中国か、
それとも再び欧州か・・・
世界のどこでマネーの暴走行動が起きるかは、しょせんはカオスの世界、
あらかじめ想定して避難しておくことば、かえって危険では
ないかと私は思います。
であれば私たちが日ごろ心がけておくことは、
ただ一つだけ。
それは資産の質的かつ地理的な分散に尽きるのでは
ないでしょうか。
分散した資産のうち、不幸にして一つが大きく毀損しても、
残余の資産で問題なく生きていけるようにしておくこと、
これが王道ではないでしょうか。
特に富裕層に属する方にとって、このことを基本理念に
据えるべきだと私は考えております。
日本国内の現預金は、海外発の金融不安の影響を受けにくく、
また流動性においても優れています。
逆に海外に置いた金融資産は、不幸にして日本が財政破たんしても、
その影響は小さくしか受けないでしょう。
また万一世界中が一斉に金融混乱に陥ったとしても、
貴金属の現物や国内外の不動産は、究極の現物資産として
その価値を維持するでしょう。
私たち先進国の住人にとって、これからも生きにくい
時代が続くことは間違いないでしょう。
それでも自らの強い意志によって、
ご自分の資産と生活を守ることはできるはずです。
では、今回はこのへんで。
(2012年6月19日)
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