不動産の買い場は・・・

みなさんこんにちは。

先週のメルマガで書かせていただいたように、
私は資産運用の王道は、「地理的かつ質的な分散」
にあると考えております。

まずは国内資産と海外資産の戦略的分散、
これが「地理的な分散」です。

これに対し「質的な分散」といいますのは、
株やヘッジファンドなど紙の資産に対し、
一定の額で現物の不動産や貴金属を保有しておくことをさします。

このような分散を心がけておくことによって、
インフレや財政破たん、金融システム上の危機など、
万一の金融ショック時に、資産の毀損を最小限に抑える
ことができるというわけです。

今回は現物資産のなか、特に不動産について少し
考えてみたいと思います。

もっとテーマを絞りますと、「不動産への投資は、
金融危機を乗り越えることができるか否か」という点です。

まずは少し昔の出来事を振り返ってみましょう。

過去においても金融不安は繰り返し起きていますが、
比較的新しいところで第二次世界大戦以降の約70年をみますと、
世界の先進国は20回にも及ぶ金融危機(注)を経験しておりますし、
そのうち以下の7回は大変深刻な事態に至りました。

(注)『ラインハート&ロゴフ著 国家は破綻する』を参照

『金融危機の発生年と震源地』

・1987年 スペイン
・1987年 ノルウェイ
・1991年 フィンランド
・1991年 スウェーデン
・1992年 日本
・2007年 米国
・2010年 欧州

このうち特に深刻なのは1992年の日本以降の3件で、
その震域は広域化し、かつ震度は徐々に激しく
なりつつあるようにも思います。

これら金融危機にみられる共通した特徴は、大量の投機的マネーの
さまざまな金融商品への流入で、事前にみられるもっとも顕著な現象は、
不動産価格の急騰です。

私たち日本人にとって身近な例は、1992年に始まる
我が国の金融危機ですが、当時も不動産価格の暴騰とその後の急落が、
危機の原因となったのは皆さんご存じのとおりです。

その後のサブプライム・ショックや欧州危機も同様で、
震源地では不動産価格の暴騰と、その後の急落が起きて
います。

ではこのような金融危機のなかで、不動産への投資によって、
果たして投資家は報われたのでしょうか・・・それとも逆に、
痛手を負ったのでしょうか。

もちろんどちらの光景もみられたのでしょうが、その明暗を分けたのは
投資のタイミングだったのではないでしょうか。

たとえば不動産相場の上昇に引かれて購入された方、
なかでもレバレッジ(借入)を効かせて購入された方は、
手痛い目にあったに違いありません。

これに対し、相場の高騰期以前に購入された方はどうでしょうか。

その後の急騰のあと、暴落が待っていたわけですが、
相場の上下動があっても、現物不動産に物理的な変化は
ありません。

そもそも不動産投資は超長期の投資ですし、インカムゲイン
即ち家賃収入を目的とした投資でもあります。

不動産相場が激しく上下してとしても、保有期間中の
インカムゲインはさほど上下せず、その意味で投資家にとって、
金融ショックを挟んだ相場変動を、あまり意識する必要はなかった
のではないでしょうか。

そのように考えますと、相場安定期に購入された方にとって、
現物不動産は本来の質的分散効果を発揮したといえるでしょう。

ヒトの心理は相場が下落した時より、むしろ上昇した時に買い意欲が
湧くようにできているようですが、このことは今後の教訓と
するべきでしょう。

即ち「不動産は相場がおとなしいときに買え」
ということではないでしょうか。




では、今回はこのへんで。


(2012年6月29日)



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