■米国の天候不順と穀物相場
みなさんこんにちは。
北半球の天候不順・・・
2010年の夏以来ではないでしょうか。
あのときは確かウクライナやロシアなどで
異常乾燥が続き、同地の小麦収穫が大きな打撃を
うけました。
小麦相場は急上昇し、価格は2010年前半のレンジ4ドル台
(1ブッシュエルあたり)から急上昇し、夏場には
一時8ドル台に乗せ、その後も上昇基調で推移、さらに年が明け
2011年になっても上昇し続け、最終的には9ドル近辺に達しました。
https://www.rakuten-sec.co.jp/web/market/data/wc1.html
2010年前半のレンジからみると、2011年初の高値は2倍以上の
水準ということになったわけです。
相場の上昇は小麦にとどまらず、家畜の飼料として代替される
トウモロコシ、さらには大豆の価格も同様に上昇しました。
穀物は景気との相関が低い一方で、世界の天候、
つきつめて言えば、米国やロシア、オーストラリア、ブラジル、
アルゼンチンなど、穀倉地帯の天候の影響を大きくうけることになる
わけです。
このように穀物は、同じコモディティ仲間のエネルギーや
非鉄金属などとは随分異質な値動きをしますし、当然のことながら
新興国株とも違った値動きをするわけで、資産運用上の分散効果が
期待できるといってよいでしょう。
さてその穀物の相場のお話しです。
先週の「思いつくことなど」で少しだけ触れさせて頂きましたが、
6月の中旬あたりから穀物相場は急騰中です。
原因は前回の高騰期と同じく、北半球、特に米国の天候不順です。
同国ではちょうどトウモロコシなどの受粉時期を迎えていますが、
この大切な時期に、穀倉地帯である中西部では異常乾燥が続き、
今年の作柄に対し、悪化の懸念が急速に膨らみつつあると言って
よいでしょう。
なお6月の直近安値からの主要穀物の値動きは、
以下のようになっています。
・トウモロコシ 5.5ドル程度→7.5ドル超え
・大豆 13.5ドル程度→17ドルへ接近
・小麦 6ドル強→8ドル強
(いずれもブッシェルあたり)
さてこの穀物高・・・いったいいつまで続くのでしょうか。
そしてどこまで上昇するのでしょうか。
そもそも気まぐれな天候あいての投資ですし、
またせいぜい長くても半年程度の短期の相場ですので、
正しく読み切ることは至難の業です。
それでもいくつかのヒントはあると私は思います。
まず非鉄金属やエネルギーなどが、季節に関係なく常に
生産、精製されるのに対し、穀物の場合、収穫期は決まっています。
即ち北半球では9月から10月にかけて、南半球では
3月から4月にかけてです。
逆に申し上げれば、この収穫期に適正な在庫が積みあがらなければ、
世界は概ね向こう半年にわたって、在庫不足の懸念を引きずら
ねばなりません。
そのあいだ穀物相場は、常に上昇圧力にさらされることに
なるといってよいでしょう。
この点で、今回とほぼ同じ理由で相場が上昇した、2010年以降、
2011年にかけての相場の流れは参考になるのではないでしょうか。
天候不順の懸念から2010年夏以降、世界の穀物相場は急騰
しましたが、その流れは概ね2011年の半ばまで続き、
相場が下落に転じたのは同年の年央、即ち2011年度の収穫の
行方が明らかになり始めてからでした。
今回の相場形状が2010-2011年通りになるとは申しませんが、
仮に米国の天候不順が今後も続くなら、少なくとも来年の
年初にかけ、穀物相場には上昇圧力がかかり易いとみておいて
よいのではないでしょうか。
ご参考までに現時点において、
米国の天候不順が解消に向かいそうだという情報を、
私は得ておりません。
では、今回はこのへんで。
(2012年7月10日)
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