ストップ・ザ・円高

みなさんこんにちは。

米国では3度目のQE(流動性供給策)の実施が濃厚になり、
欧州ではECBが南欧諸国の国債の無制限購入を表明しました。

いわずもがな、いずれも紙幣の増刷によって成し遂げられ、
つまり通貨安政策としての意味合いも併せ持っている
といってよいでしょう。

世界各国の為替政策を見ますと、
実にしたたかで巧妙に通貨安誘導を行っており、
そのことを我々ははっきりと認識しておくべきではないでしょうか。

まず米国はといいますと、我が国の為替介入に対して常に
批判的態度をとりますが、リーマン・ショック以来、自国内では
量的緩和を積極的に行っています。

量的緩和はあからさまな為替介入ではありませんが、
景気回復という大義名分のもと、実質的にドル安政策の
側面もあるわけです。雇用の拡大に力点を置くバーナンキは、
間違いなくそこをしっかりと意識しているはずです。

そもそも基軸通貨という世界の公共財を提供する国が、
自らの国益のために、通貨安政策をとり続けることが
許されてよいか・・・私などは思ってしまうわけです。

一方でユーロはどうでしょうか。

こちらはご存知のような状況で、放っておいても自然に
ユーロは売られます。加えて今回のような無制限な紙幣の印刷を
表明すれば、さらに通貨安へ誘導できるという寸法です。

EUが第二の通貨圏を目指すなら、それに見合った責任、
つまり通貨の安定という責任をしっかりと果たすべきだと
思いますし、日本の政府はもっと声を大にして主張すべき
ではないでしょうか。

中国は中国で都合の良いときだけ世界二位の経済大国で、
いつまでたっても一向に為替介入をやめようともしません。

米国にしてもEUにしても、あからさま為替介入は
行っていませんが、間接的な通貨安誘導という意味では、
中国と大差ないのではないでしょうか。中国にいつもそこを
突かれるから、米国も強く批判しづらい・・

いずれにしても彼らは通貨安のメリットを熟知している
ようにみえますし、それぞれに通貨安を実現する
努力を惜しむ様子はありません。

かくしてわが日本の円のみが買われ続ける構図は続き、
放っておくと”失われた30年”になりかねない状況に
追い込まれつつあるというわけです。

スイスが許され、韓国が大手を振って行う為替介入を、
なぜ我が国の当局は遠慮がちにしか行えないのでしょうか。

お隣の大統領がいうように『日本の経済的地位は、もはや
従来のように高くない』のであれば、その国が得意とする
為替介入を我が国が行って、非難される筋合いはもう
ないはずです。

最近ではIMFの要職者ですら、たびたび『円は実力に
比べ高すぎると』指摘しています。私には間接的に『早く通貨安政策を
導入しなさい』と言っているように聞こえるのですが・・

個人にとってゆかしさや、遠慮は美徳かもしれません。
が、多くの国民の生活や将来がかかる外交で、遠慮やゆかしさは
むしろ罪悪ではないでしょうか。

世界の外交の舞台でしっかりと国益を主張し、当局はせめて
現在の円の価値を、本来の実力にみあった水準に誘導して
欲しいものです。




では、今回はこのへんで。

(2012年9月11日)



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