量的緩和の帰結は

みなさんこんにちは。

1990年代後半以降の日本、
2008年リーマン・ショック以降の米国、
そして2009年以降の欧州・・・

もはや日米欧の中央銀行による金融緩和、
すなわち市場へのマネーの供給は常態化して
しまったかのようですね。

特に2008年のリーマン・ショック以降は顕著で、
日米欧の中央銀行の総資産は、この僅か4年の間に
ほぼ倍増というすさまじさです。

景気の後退期に取るべき政策は、本来「財政出動と
金融緩和の合わせ技」のはずです。

にもかかわらず先進諸国はどこもかしこも財政赤字が
深刻で財政出動は行いづらく、その行き着く先は
中央銀行によるマネーの供給という片肺飛行というわけです。

議会の承認が要る財政出動に比べ、
わずか十名前後のメンバーの合意で紙幣の増刷を決定できる
となれば、量的緩和に重心が移るのはやむをえないところでしょう。

一方で私などは、このまま無制限にマネーを印刷し続けてよい
ものなのかと、時々不安になってしまいます。

現実の経済のサイズに比べ大きくなりすぎてしまった
マネーは、一体どこに流れ込むのでしょうか。

電気信号に変換された巨額のマネーは、世界中に張り巡らされた
回線のなかを高速で移動し、投機の対象を物色し・・・
あるときは急速に流れ込み、あるいはその反動で急に流れだし、
そしてその都度現実の世界に大きなバブルの傷跡を残します。

1990年代後半以降の日本、
2008年リーマン・ショック以降の米国、
そして2009年以降の欧州・・・

今後私たちが経験する景気後退は、従来のような穏やかな
ものではなく、このように常に金融危機を伴ってやってくる、
鋭角的なものになると覚悟しておくべきではないでしょうか。

そしてその危機から逃れるため、
さらに苦し紛れの量的緩和を行い、
その結果マネーの総量は膨張する・・

そして膨張したマネーは景気の振幅を拡大し、
またどこか発で金融危機を伴った景気後退が起きる・・・

このように物事が循環を伴って進行する場合、
私たちは気をつけなければなりません。

いま私たちが心がけておくべきことは二つあると思います。

一つ目は価値が薄まる資産、すなわちマネーやその関連資産の
持ち高をいたずらに増やすことを避け、より現物に近い資産にも
配分しておくこと。貴金属などコモディティ、あるいは現物の
不動産もよいでしょう。

そしてもう一つは局地的かつ頻繁に発生するバブルに決して乗らず、
マネーの流出と流入のタイミングを冷静に見極めて行動すること。

この二点に集約されるのではないでしょうか。



では、今回はこのへんで。

(2012年10月10日)



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