■欧州は危機を脱したか
みなさんこんにちは。
2009年末に始まった欧州債務危機・・
思えばここまで長い道のりでしたね。
この3年というもの、何度か危機は収束したやに見えましたが、
その都度新しい問題が発生し、また危機モードに逆戻り・・・
この連続だったように思います。
ではなぜこのように危機と楽観が繰り返されて
きたのでしょうか。
いろいろな意見があろうかと思いますが、
私自身はひとえにセーフティネットが十分でなかった
からだと思います。
例えば以前からEFSF(欧州安定化基金)という
セーフティネットがあり、欧州の重債務国に対して
金融支援を行ってきましたが、EFSF自身は期限付きのいわば
仮普請のような組織だったわけす。これではなかなか市場の
信頼は得られないのではないでしょうか。
同様にECB(欧州中央銀行)も、節目節目で大きな支援を
行ってきましたが、いずれも単発で効果の持続性という
意味で市場の信頼を得たとは言えませんでした。
これに対し先月行われた二つ決定は、大きな意味を
もつのではないでしょうか。
まず一つ目は悲願のESM(欧州安定化メカニズム)設立です。
ESMは2010年に末に構想されましたが、各国間の合意の
形成などに手間取り、ずいぶん長い間先送りされて
きました。
先月ドイツの憲法裁判所が合憲の判決を下し、
めでたく創設が決定したわけです。
ESMの資金力は約5000億ユーロ、
日本円にして50兆円程度あります。
これで十分かといえば確かに心もとない部分は
残りますが、まあそれでもこのような恒久的なセーフティネットが
できた意義は大きいのではないでしょうか。
もう一つの大きな決定は、ECBによる無制限な国債の
買い入れです。
このECBの決定によって、債務危機に陥った国は、
財政再建策の提示を条件にではありますが、
上限を設けることなくECBに国債を買い取ってもらうことが
できるようになりました。
ギリシャのユーロ離脱リスクや、
スペインがECBに支援要請をするか否かなど、
まだいくつかの問題は残っていますが、私自身は先月行われた
上記二つの決定は、決して小さな出来事ではないと
考えております、欧州問題は転換点を迎えた可能性が高い
のではないでしょうか。
まだまだ危機を脱したとは申しませんが、
大局的に見て少なくとも富士山でいえば七合目あたりまで
きているように思います。
仮にこの見通しが正しければ、
欧州の経済はそろそろここいらが底、
来年は緩やかな回復に向かうことになるはずです。
その場合中国経済はどなるのか、米国や世界の経済は・・
あるいは貴金属相場はどう動くのか・・
年初恒例の「2013年型ポートフォリオ」について、
僕は既に考え始めていますが、いまのところ上記のような
シナリオを想定しています・・
では、今回はこのへんで。
(2012年10月16日)
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