デイトレーディングはゼロサムゲームか

あいかわらず、本屋に行くとデイトレ系の煽り本が平積みされていますね。
こういった煽り本は簡単に書けるし、結構売れ行きもいいようなのである意味当然なのかもしれませんが、私はいつも苦々しい気持ちで見てしまいます。

デイトレとは一体何か?
投資対象の保有期間を極端に短くし、本来株が持っている「企業価値」という”裏書”をゼロにすることにより成立するバクチです。
株価には本来、企業価値(あるいは現在の企業価値と将来得られるであろう配当収入を現在価値に割り引いた価値との合計)という”ウラガキ”がされています。
私たちのような中長期投資家は、その”ウラガキ”された企業価値対し、適正な価値を見極める努力を欠かさず行っています。

ひとそれぞれ、裏書されたものに支払う対価が違うので、株価というのは常に変動しているわけですね。(裏書された価値がいったい、いかほどもモノなのかの読み合いで日々勝負を繰り返しているわけです)
これに対し、デイトレというモノは株式が持っている本来の価値に一切敬意を払わず、保有期間を「今」という正に”瞬間のみ”に限定することにより、投資をギャンブルに変える行為です。

株式投資は本来”ゼロサムゲーム”ではありません、中長期のスパンで持っていると株価は必ずその会社の企業価値に収斂(しゅうれん)するものです。 場合によっては保有者全員が勝者になる場合もあります。その逆ももちろんありますが。

コレに対し、デイトレは全くの”ゼロサムゲーム”です。
従って回数を重ねると勝ち負けはなくなることになります。理論上、勝者はいないのです。一時的に勝つ場合もありますが、常に同じ確率で負けが訪れます。

とは言うものの、例えばマージャンをやったことがある方は理解できるかもしれませんが、ツキには不思議と波があります。勝ちは連続してやってくるケースが多いですね。
勝ちこんだときに一時的に注目を集め、マスコミ・著作などではやされるケースはよくあります。
それもいっときの事。本が出版されるころ、テレビ番組が放送されるころには、元のトントンの状態。
現実はそんなトコロでしょう。

もっとも、勝ち負けの発表は”自己申告”、自分から「・・・実は・・」という告白も聞いたことがありませんが。
デイトレ系の煽り本の理屈は、例えば”ロトの出目に関する指南本”と全く同じです、本来勝者はいないはずのゲームに対し、あたかも理論があるような解説をこじつけているに過ぎません。
ただ、デイトレをギャンブルとして割り切ってレジャーとして楽しむのであれば、いくつか優れた点があります。

●胴元のピンはねが少ない。
今は期間限定セールの真っ最中。なんと税率10%です。競馬で25%、宝くじで50%くらいでしょうか。

●参加料が安い。
PCとブロードバンドさえあれば家でできます、手数料はネット証券が味方。

●週に5日、一日4時間半も賭場が開いています、他にはチョットないですね。正にバクチ好きの天国!
・・・・・こうして改めて見てみると、何とも不思議ですよね。

対象は同じ”株”なのに、保有期間の違いで”投資”にもなるし”バクチ”にもなります。
みなさん、デイトレについてどうお感じですか?
私は断固反対派。

では

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