■自動車とエレクトロニクス
みなさんこんにちは。
ここ数年我が国のエレクトニスク業界は、
元気がないですね・・・
シャープやソニー、パナソニックなど、
軒並み韓国勢や中国勢におされつつあります。
一方で自動車産業はといいますと、
かつてほどの絶対的な強さはありませんが、
それでもトヨタ、ホンダ、日産、富士重工など、
エレクトロニクス業界に比べ、まだ強さを維持していると
いってよいのではないでしょうか。
日本のエレクトロニクス産業が、急速に衰退しつつあるのは
円高のせいだとする意見がありますが、もしそうであれば、
なぜ自動車は強いのか・・・
ここから「日本のエレクトロニクスが弱いのは、円高の
せいというよりむしろ、意思決定の遅さや業務効率の
悪さなど、会社自身に原因があるのではないか」
このような声もよくきこえてきます。
確かに一理あると思います。
もし円高ではなく、業界や社内の体質にその原因があるのなら、
いくら円高を修正しても、彼らはかつての強さを取り戻す
ことはできないはず。この場合むしろ国内に弱い産業を
温存することになり、長期的に見た我が国の競争力回復という
観点から、決して好ましくはないでしょう。
ですからここの見極めは重要で、間違った解釈を
してしまいますと、出す処方箋も的外れなものに
なってしまいます。
果たして今のエレクトロニクス産業の弱さは、
円高によるものなのでしょうか。
仮にそうであれば、なぜ自動車産業は競争力を
維持できているのでしょうか。
いつもこのメルマガで申し上げているように、
私自身は円高の影響が大きいと思っています。
ではなぜ自動車は同じ環境下で、競争力を維持できて
いるのか・・・
私は両者が作る製品の違いが大きいと思います。
例えば携帯電話や携帯オーディオ、
テレビや洗濯機、あるいはビデオカメラやデジカメなど、
いま使われている電気機器は概ね電子化、デジタル化が
進んでおり、昔のアナログ時代のような細かいチューニングや
擦り合わせなど、熟練や経験がそれほど求められるわけでは
ありません。
むしろ価格設定やマーケティング、デザインなど、
それ以外の部分が大きな位置をしめているといえるでしょう。
これに対して自動車はどうでしょうか。
私は自動車を作る会社にはいませんでしたが、
おそらく電気機器のような技術の平準化は進んで
いないのではないでしょうか。もちろん制御部は
ずいぶんデジタル化、コンピュータ化は進んでいるようですが、
それでも車体やエンジン、駆動部など、電気機器にくらべ、
まだまだ匠の技や擦り合わせが求められる部分が、
残っているような気がいたします。
従ってエレクトロニクス業界が作る電気機器ほどには、
平準化が進まず、円高によって製品価格が上がっても、
ある程度は競争力を維持できる・・・
もしこの推測が正しければ、さきほどの
「日本のエレクトロニクスが弱いのは、円高の
せいというよりむしろ、意思決定の遅さや業務効率の
悪さなど、社内に主な原因があるのでなないか」
という考え方は的を射ておらず、我が国はこの理不尽な円高を
早々に修正し、我が国の基幹産業であるエレクトロニクス産業が、
他国の競合相手と同じ土俵で戦えるよう、環境を整えてあげなくては
ならない・・・
このような強い危機感を持つべきでは、
ないかと思います。
では、今回はこのへんで。
(2013年2月28日)
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