■2%のインフレに負けない資産運用
みなさんこんにちは。
日本人は資産運用が苦手、
日本人は資産運用に興味を持たない。
このようなことはずいぶん前から言われて
きたような気がしますし、欧米などの過去や現状などと
比べますと、確かにそのような傾向は強いように思います。
ではなぜ日本人は、資産運用に興味を持たなくなって
しまったのでしょうか・・・
私は戦後我が国の社会構造に、その原因の一端が
あるような気がしています。
かつて大方の男性は学校を卒業するとただちに就職し、
ほぼ例外なく年功によって収入は増え、例えば途中で
解雇され無収入になるということは稀でした。
定年退職後も手厚い社会保障制度に守られており、
人生のベルトコンベアーに乗っかっていさえすれば、
少なくともほどほどの生活が保障される・・・
確かにこのように安定した社会にくるまれておれば、
リスクを冒して資産を増やしたり、守ったりする必要は
なく、お金は郵便局か最寄りの銀行の定期預金で
十分だったはずです。
戦後約70年にわたって社会に定着してきたこのような
行動様式は、徐々に日本人の思考回路に影響をあたえ、
「資産運用は額に汗することなくお金をえようとする、
どこかいやしいもの」という意識が定着してしまった
のではないでしょうか。
ただこのような安定した社会も、皆さんご承知のように
随分前にすでに失われてしまいました。
あれほど盤石だった終身雇用、年功序列も崩壊し、
一方で年金制度を中心とした社会保障制度も、徐々に
維持が難しくなってきているように思います。
それでもここ20年ほど我が国はデフレ状態にあったため、
実は資産運用の必然性は、さほど大きくなかったのでは
ないでしょうか。
デフレといいますのは、モノの値段の継続的な下落です。
例えば来年まで待てば、家が2%安く買えるなら、
手持ちのお金をタンスにでもしまっておき、来年買った
ほうがトクなわけですね。
従ってデフレの世界では、現金をもっていること自体で、
ある種の資産運用効果が得られたわけです。特に引退後の
高齢者にとって、デフレはむしろ心地よい現象では
なかったでしょうか。
つまり戦後長い間維持されてきた社会の構造、
その崩壊のあとの20年にも及ぶデフレ傾向・・・
これらによって、そもそも日本人にとって資産運用の必然性は、
それほど大きくはなかった。このように言えるのでは
ないでしょうか。
さてそのような観点で今後をみるとどうでしょうか。
前回の会合で日銀は、2%のインフレ・ターゲットを
初めて導入いたしましたし、さらに先日の国会で日銀次期総裁
候補の黒田さんは、2年後を念頭に達成したい旨発言しています。
この物価2%の目標は、世界的にみて決して高くはなく、
むしろ先進国の標準といってよいでしょう。
また仮に我が国が他の先進国並みの成長を目指すなら、
インフレ率2%の達成は避けて通ることはできない
でしょう。
つまり2%インフレ達成できなければ、
我が国の将来は相当暗いものになってゆくという
イメージです。
従って今後の私たちの生活は、この2%インフレという
前提を想定して、設計しておく必要があるということ
ではないでしょうか。
仮にインフレ率2%であれば、例えばタンス預金は
毎年2%ずつ価値が減少してゆきますので、まずこの
選択肢はありません。
インフレ率2%の世界では、例えば定期預金の金利、
あるいは長期国債の利回りは2%を超えることが想定されますが、
資産の分散保有という観点から、多額のお金をここに集中させて
しまうのは、避けたいところです。
従って、必然的に
インフレに強い不動産、株式、コモディティ、その他
貴金属などへの意識的な分散。
あるいは通貨の分散目的や、我が国で発生する突発的な
イベント・リスクなどにも配慮し、海外への分散投資の
必要性の検討。
そして最も重要なのは、インフレ率2%を前提とした
皆さんお一人お一人のライフプランと、それにみあった
資産運用計画の策定。
このような行動が求められることになるでしょう。
私は日本人にとっても、いよいよ資産運用の必要性が高まる
時期に入ってきたと思います。
では、今回はこのへんで。
(2013年3月5日)
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