2%インフレ時代に備えて

みなさんこんにちは。

デフレも20年続きますと、もう一つの時代として
区分していいのかもしれませんね。

今年より来年、来年より再来年・・・ものの値段が
年々安くなってゆくことが当たり前になってしまいますと、
その昔インフレの時代、フツーに持っていた感覚が、
なかなか戻りません・・・困ったものです。

例えば家や自動車など高額商品の購入。

もちろんこの20年のデフレ時代にも家や車は買いましたが、
特に高額な商品は、よほど必要に迫られなければ購入に踏み切れず、
できるかぎり先送りしてきたような気がします。

仮に毎年物価が1%ずつ下がるとしましょうか。

例えば5000万円のマンションを、頭金2000万円で
買ったとしますと、確かにローンの金利は低いですが、
借りた3000万円(注)は1年後も3000万円のまま・・・

注)返済は考慮しないとします

これに対して物価は毎年1%下がっているわけです。

かくしてローンの実質的な残高は、毎年デフレ分だけ
増え続け、返済しても返済しても(ローンの実質的な)
残高はなかなか減らない・・・こういった厳しい結果
をたどることになるわけです。

これに対し、仮に毎年2%ずつモノの値段が上がって
ゆけばどうでしょう。

さきほどの住宅ローン3000万円の額面は同じなのですが、
ローンを取り巻く物価水準は毎年2%ずつ上昇してゆく
わけですね、その結果3000万円の体感金額は、インフレ率分
ずつ少なくなってゆくことになります。

このような世界で高額商品の意味のない購入先送りは、
決して合理的ではありません。

高額品の購入と同様に、大きな発想の転換を求められるのは
資産運用の世界です。

デフレの世界では、仮にお金を全額タンスにしまっておいても
その間モノの値段は徐々に下がってゆくわけです、つまり実質的
にはタンス預金ですら、多少の資産運用効果があったわけです。

もちろん多額のお金を現預金に配分することは、
リスクの分散という観点から好ましくはありません。
それでも選択肢の一つとして十分に有効だったと
いえるでしょう。

一方で2%インフレの世界ではどうでしょうか。

インフレ率2%の世界で生きてゆくために、
一体どの程度のリターンが求められるのか・・・

私は昔このテーマについて随分研究したことがありました。

具体的な試算の結果は少々複雑ですので、
ここでは割愛させていただきますが、おおざっぱに
申し上げれば

1.各世帯の収入と支出のバランス
2.現時点で保有される資産の額

によって驚くほど差が出てきます。

一般には1の収支バランスが良ければ良いほど、
さらに2の保有資産額が多ければ多いほど、
必要とされるリターンは小さくて済みます。

もちろんデフレ時代に比べると高いリターンを
求められるのですが、このような世帯で要求されるリターンは、
さほど大きくはありません。

これに対し単年度の収支バランスが悪く、なおかつ
現時点の保有資産額が小さい世帯は要注意です。

また年金生活者は収入がインフレに連動しにくいので、
その点で現役世代より不利といえるでしょう。

いずれにしましても、先ほどの高額品に対する
消費行動と同じく、資産運用の世界でも発想の
転換が求められることは間違いありません。

では、今回はこのへんで。

(2013年3月19日)





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