失われた遠い記憶

みなさんこんにちは。

もうすぐ新年度ですね、
読者の皆さんのなかにも新しい生活にむけ、
期待に胸ふくらませておいでの方もいらっしゃるのでは
ないでしょうか。

こんな節目の時期に、いつもながら資産運用話しなどしてもナン
ですので、今回は少し違ったお話しをさせて頂きます。

国というのはホント不思議なものですね、
僕はときどき考えてしまいます。

日本人はいったいどこから来たのか・・・

ひとつは南方から沖縄を伝って入ってくるルート。

二つ目は中国大陸から、朝鮮半島という海上につきでた回廊を
経由して入ってくるルート。

三つ目は北方から樺太⇒北海道というルートでは入っくるルート。

ごくおおざっぱにいえばこの三つに集約されることになるわけですが、
地図をジッとみていますと、北方ルートと南方ルートは、
それほど重要ではなかったように思えてきます。

日本人が本格的にこの島に入ってきたのは
紀元前1000年前後ではないかと思うのですが、果たして
その時代に北方(沿海州あたり)や南方(南の島々)に、
それほど大勢の人間が住んでいただろうかという、
素朴な疑問を持つわけです。

これに対し、二つ目の中国⇒朝鮮半島というルート上には、
当時から人口の密集地帯があり、おそらく日本人の大半は
このルートでこの島に入ってきたのだと思います(注)。

注)DNAの解析によっても、そのように結論づけされているようです。
  ただし細かくいえばこのルートには、中国の江南地域⇒九州
  というルートも含まれるようです。

このルートでのヒトの移動は、たった一度っきりの
ものではなく、はじめのうちはムラや家族単位などという小集団で、
時代が下って朝鮮半島にクニや国家が出現すると、そのあとは
例えばクニ単位、場合によってはより大きな国家に
追われる形で国ごと、ときには数千人という大規模で
日本列島に移り住む・・・そのような光景も
みられたに違いありません。

それらのうちの大きなものは、朝鮮半島から山陰地方、
あるいは北九州に上陸後、新天地で新しクニグニを作った。

時代がさらに下れば、すでにクニという規模を超え、この地に
やってきた当初から、既に国と呼ぶにふさわしい規模と体制を整えて
いたかもしれません。

いってみれば国ごとまるまる引っ越してくるというイメージです。

そもそもこのルートでヒトが渡来する以前、
日本列島に国とよばれる存在があったとは思えず、
つまり日本の原型は、おおかたこのように朝鮮半島経由で渡来した
人たちによって作られたのでないかと僕は思います。

僕がまだ中学生だったころ、日本史の教科書には
『任那日本府』という言葉がありました(懐かしい!)、
古代日本が朝鮮半島の『任那(みまな)』に植民地をもっていたと
教えらたわけです。

当時は何の疑問も持っていませんでしたが、
さすがに今では怪しいと思っています、文明は水と同じで高いところから
低いところに流れる・・おそらく真実は逆に近く、朝鮮半島にあった
クニのひとつ、任那が隣国二国(新羅と百済)の挟撃にあい、
その一部がクニごと日本列島に移住してきたと考えるほうが、
素直ではないかなどと想像したりするわけです。

その後こんどは百済自身が同様に新羅と唐の挟撃にあい、
当時の大和政権に王子や官僚、知識人、技術者たちが大量亡命
してきますが、これもさきほどの任那と同じ意味合いではないか
と思います。

このように考えてみれば、わが日本の成り立ちは、大半を
朝鮮半島からの移住、あるいは中国を追われ朝鮮半島経由で
移住した、大なり小なりの集団に依存していたといえる
のではないでしょうか。

おそらく大和政権ができて間もないころでさえ、政権の中枢部や
知識人には、このような自らの帰属意識について明確な記憶が
残っており、朝鮮半島や場合によっては中国に対し、一種の郷愁の念
をもっていたのではないかと思います。

朝鮮半島側からみても、日本の弥生時代末期のクニグニや
その後の大和政権を、数代前に分かれた分家として、強い親近感
を持ったいたのかもしれません。

ひょっとしたら言語すら、当時はお互いに理解できた可能性もあると
思います。

もういまから1500年ほども昔のお話しです・・・

今では当時我々のご先祖様がもっていたかの地に対する郷愁や、
自分たちの出自の記憶もすっかり失われ、
残っているのは悲惨な近現代史の記憶と、
お互いのナショナリズムと競争心。

日本における韓流ブームや、逆に韓国や中国側にみられる
日本のオタク愛好は、記憶のなかのわずかな残り香
なのかもしれませんね。

 

では、今回はこのへんで。

(2013年3月29日)





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