■ファンド・オブ・ファンズ選択の注意点
みなさんこんにちは。
自ら資産を運用することなく、
他社が運用する複数のファンドに分散投資するファンド。
これがファンド・オブ・ファンズです。
今回はファンド・オブ・ファンズ・・・なかでも
組み入れ対象をヘッジファンドに限定したファンド、
すなわちファンド・オブ・ヘッジファンズ(以下FoHFs)
について少しお話ししたいと思います。
例えばA社という運用会社が、「ファンドB」という
FoHFsを立ち上げようと考えた場合、A社はどのようなファンドを
選択するでしょうか。
まずなにより、例えば過去5年間といった比較的長期にわたり、
一定の好成績をあげているファンドを選ぶことになるでしょう。
イメージでいえば、
ファンド1⇒株式ロング・ショート型ファンド
ファンド2⇒同上
ファンド3⇒債券を対象とした裁定取引型ファンド
ファンド4⇒マネージド・フューチャーズ
ファンド5⇒マクロ型ファンド
とまあこんな感じです。
一般に運用会社が新しいFoHFsを立ち上げる際、募集資料において、
例えば「過去5年間の運用シミュレーション」といった数値を
掲載し、投資家に対してアピールを致します。
「過去5年間の運用シミュレーション」といいますのは、
過去にさかのぼった試算のことで、例えば上記の「ファンドB」
にあてはめますと、組み入れ対象「ファンド1」〜「ファンド5」の、
過去5年間の運用成績を用いて計算するわけです。
まあ簡単にいえば仮に「ファンドB」が5年まえに設立されて
いたとすれば、その後どのようの運用成績を残したかを、
さかのぼって計算した結果のことです。
ここでご注意頂きたいのは、過去の運用成績が好ましファンドを
選んでくるわけだから、シミュレーションの結果も当然好ましく
なるという点です。従って買い手は過去のシミュレーションを、
ファンド購入の選択基準してはなりません。
これはじゃんけんゲームに例えるとわかりやすいかもしれません。
例えば過去5回じゃんけんに勝ち続けてきた人を5人選び、
彼らにじゃんけんゲームを続けてもらったとしたら、
どうなるでしょうか。
この5人の過去の勝率は100%ではありますが、
今後の彼らの勝率は50%にすぎません。
ただしファンドの世界はじゃんけんゲームと多少違い、
じゃんけんのうまい下手があります。
従ってもしA社がじゃんけんのうまいファンドを選べば、
「ファンドB」の運用成績を高めることは不可能ではないと
思います。
ただしそこにはFoHFsを運用する側、
つまりA社のヘッジファンド選別の『目利き力』が、
要求されることになるわけです。
例えばファンド1が5年連続で好成績を残して
いるのは、果たして偶然か、それとも必然なのか・・
この見極めがFoHFsの『目利き力』だといってよいでしょう。
では私たちはどうやって、A社の『目利き力』を
評価したらよいのでしょうか・・・
『目利き力』などというファジーな能力を数値化する
のは難しく、私は運用会社A自体の、過去の実績をもって
推し量るしかないと思っています。
そのためには、
・そもそもA社は過去にFoHFsを運用した経験があるのか。
・あるとすれば何年のキャリアで何銘柄の運用実績があるのか。
・そして過去A社が運用したFoHFsの運用成績は、当初の募集資料
にあった「過去5年間のシミュレーション」と比べ、大きく
かい離していないか。
このような点をしっかりとみて頂きたいと思います。
特に新設のFoHFsや、設定後まもないFoHFsへの投資を
検討される場合は、くれぐれも過去のシミュレーションを
鵜呑みにしないよう、ご注意ください。
では、今回はこのへんで。
(2013年6月6日)
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