先進国と新興国の断層

みなさんこんにちは。

いま新興国と呼ばれ、経済的に発展段階にある国。

そんな国も経済成長を続け、
やがては先進国の仲間入りをする・・・

一見当然のように思えますが、
現実をみますと、そう簡単でないことがわかります。

世界の歴史を振り返ってみますと、
いまでいう先進国の起源はヨーロッパにあると
いってよいでしょう。

19世紀後半の産業革命をてこに発展したイギリス、
そして対岸のフランス、ドイツ、イタリア、オランダあたりまで、
これが歴史的にみた先進国の原型ではないでしょうか。

少々時代が下って、アメリカ合衆国、カナダ、アルゼンチンあたり、
さらにアメリカ経由で「先進国」は輸出され、まず東洋において
日本に定着、そしてオーストラリアへ・・アルゼンチンは
先進国から脱落するという異例の歴史をたどりましたが・・・

では先進国とは一体何なのか・・・

ここまで考えを進めてまいりますと、それは単純に経済的に豊かな
国の総称を超え、「先進国」という言葉で呼ばれる国にふさわしい、
ある種の「資質」を備えた国家群・・・私にはこのような特異な
資質をもったグループのように思えます。

ではその「資質」とは一体何なのでしょうか。

よく耳にする「中進国の罠」という言葉は、中進国という
経済の発展段階を経て、先進国の仲間入りすることのむずかしさを
表現した言葉といってよいでしょう。

確かに「中進国」と「先進国」の間には大きな段差があり、
大半の中進国は主に人件費の上昇から、先進国入りするまえの段階で、
経済が停滞する傾向にあるようです。

マレーシアやブラジル、南アフリカなどまさにこの罠に
はまりつつあると言えるでしょうし、中国やインドネシア、タイ
なども、遠からず同様の壁に直面することになるでしょう。

一方で中進国時代を経て、めでたく先進国入りを果たした国も
あります、例えば我が国、そしてお隣の韓国です。さらに
範囲を広げれば、ヨーロッパ原型組以外の国々、例えば米国、
オーストラリア、カナダなどはすべてこのグループに入れて
しまってもよいのかもしれません。

これらの国々に、もしなんらかの「資質」のようなものがあるとすれば、
それは一体何なのでしょうか。

いくつかあると思いますが、まずは議会制民主主義が
長期にわたって定着し、法によって個人の所有権が
明確に保証されていること。

あるいは企業の経営が国家から分離されており、
自由な競争のもと、企業がその成長を追求できる環境が整って
いること。

さらには身分や地位の固定がなく、すべての国民に豊かになる
ためのチャンスが与えられていること。

我が国もふくめ先ほどの国々を見渡してみますと、
私にはこのような共通した資質といいますか、土壌が
あるように思います。

逆に申し上げれば、このような資質のない国は、
今後も長期にわたって中進国の地位に甘んじる可能性が
高いのではないかとも思います。

そのような観点で、例えば中国はどうでしょうか・・・
あるいはインドは・・インドネシアは・・メキシコは・・

ある国への株式投資で成功するためには、
長期的な成長性の見極めが重要ではないかと思います。

その点で、その国が上記のような資質を備えているか否か。
この判断は重要な目安の一つではないでしょうか。

 

では、今回はこのへんで。
(2013年7月9日)



 




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