■東アジアの3国構図
みなさんこんにちは。
圧倒的な国力を持った中国と、
常にその影響を受け続けた地続きの韓国、
そして海を隔てた日本。
この三国の歴史を振り返りますと、
なかなか面白い傾向がみえてきます。
韓国からみた中国の存在感は、
きっと私たちの祖先が感じてきたそれとは比べ物に
ならないほど大きなものではなかったでしょうか。
特に唐や元のように中国における巨大な王朝の成立は、
同時代の韓国に対し、相当な緊張を強いるできごとでは
なかったかと思います。
朝鮮半島の根元は大きな山脈や河でさえぎられてはいますが、
中国からみると、決して大軍を移動させることができないほどの
障害ではないようにみえます。
当時彼らがとりうる防衛の手段は、軍事力による抵抗か、
さもなければ中国への恭順、あるいはそれを一歩進めた同化政策と
いうことにならざるをえなかったでしょう。
歴史的にみて韓国が前者、すなわち軍事的な抵抗を試みたのは、
7世紀の高句麗と、その敵対国であった新羅のみ。このレジスタンスは
成功し、当時の新羅は朝鮮半島から唐の勢力を駆逐し、
半島の統一を成し遂げました。
ただ中朝のながい歴史を振り返って、このように朝鮮半島の
勢力があからさまに中国に対抗し、しかも独立を維持しえたのは
この一回こっきりではなかったでしょうか。
概して韓国は、おとなりの大国に恭順したり、あるいは
いっそのこと同化することによって、なんとか独立を維持して
きたといえそうです。
一方で我が国はどうでしょうか。
幸いにも我が国と中国の間は海で隔てられています、
とりわけ対馬海峡は海の流れが速く、動力を主に人力と
風にたよっていた時代に、大軍を送り込むことは容易なことでは
なかったに違いありません。
このような地理的な環境に恵まれた我が国から見た場合、
中国の脅威は、おのずと朝鮮の半島国家からみたそれとは
違ったものだったでしょう。
中国に強力な政権が誕生した時代の我が国の反応を
振り返りますと、確かにたとえば唐や明の一時代に使節団を
派遣していますが、その目的は主に文化や技術の輸入、
あるいは純粋な貿易であり、決して冊封関係を得るためでは
ありませんでした。
きっと私たちの先祖は、中国という国の国力が
時代とともに伸縮を繰り返すということ。さらには
一定期間その風圧をしのげば、やがて中国から吹いてくる
風も静かになるということを、体験的に知っていたのでは
ないでしょうか。
韓国の大統領が就任後間をあけず中国を訪問し、
これに対し中国が最大限の歓迎で応対したこと・・・
なんだか大昔の冊封関係をみるようでした。
さらに中国が領土問題や歴史認識に関する問題で、
我が国に圧力を加え、これに対し我が国が何とか
凌(しの)ぎきろうとする姿。
この日中韓の構図は、歴史上の中国強勢期の三国関係そのままで、
距離をおいてみると興味深くも感じられますが、当事国に住む一人の
人間として、果たしていつまでこのような風圧を受け続けなければ
ならないかと考えるにつけ、憂うつな気分にもなります。
歴史的にみますと、中国の歴代王朝の最盛期は、政権誕生後
百数十年といったところだと思いますが、一方で時代の進行速度は
ドンドンと速くなってきているようにも思います。
中国誕生から今年でまだ64年にすぎませんが、
逆に言えばこの間世代は二つほど進んでいることになります、
政権のなかでもし身分が世襲されるとすれば、すでに
現政権は祖父や親からその地位を引き継いだ世代に移行しつつあると
いってよいでしょう。
地位の世襲が常態化する一方で、逆に言えば庶民は一生庶民とし
て固定され、経済的にもそれに見合った生活に甘んじなければ
ならないわけです。
さらには昨今話題になっている、実力を超えた速度で成長する
経済、そしてその仮想経済と同期して膨張するバブル・・
バブルを抑制するなら、経済成長は犠牲にならざるをえず、
経済成長が抑制されれば社会の不満は拡大し、いずれ十数億の
民の不満は臨界点に達する。
逆にバブルを放置すれば、遠からずそれは破裂し政権の基盤は
揺らぐ、先進国と違って経済と政治が不可分一体な中国では、
バブルの崩壊は政治の崩壊を意味するのかもしれません。
いずれにしても今の中国の勢いが、今後長期にわたって
続くとの想定には、相当無理があるのではないでしょうか。
であればここ数年の間に出来上がりつつある日中朝の
国力相関図にも、多少の変化がみられるときが近いのでは
ないか・・・期待とともに少しの警戒心をもって、
今後の中国をみてゆきたいと思います。
では、今回はこのへんで。
(2013年7月16日)
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