■日本企業V字回復の本質
みなさんこんにちは。
ちょうどいま、上半期の決算発表ラッシュを
むかえていますね、昨日はトヨタの決算発表がありました。
トヨタの決算に関しては、上期の税引き前利益が1.3兆円を超え、
大変よい内容だったといえるでしょう
さらに今期の通期予想をみても、税引き前利益が約2.3兆円で、
リーマン・ショック直前の過去最高益に、並ぼうかという
勢いです。
トヨタばかりではありません。
東証一部上場の企業全体でみても、今上期は
リーマン・ショック直前を上回る利益水準に達する見通しです。
日本企業復活の理由として、いくつかの理由をあげることができますが、
最大の理由として、円高是正をあげてよいのではないでしょうか。
企業にとって、世界の競合相手と戦えるフェアな為替環境が、
ようやく整ってきたといえるでしょう。
一方でここ数日の報道を見聞きしていますと、
私などは首をかしげたくなります、どうして日本のマスコミは
ものごとを正当に評価できないのでしょうか。
『好調決算 実力以上』
例えばこれは、本日平成25年11月7日付の朝日新聞朝刊記事の
見出しです、さらに記事は
『円安の追い風に、リストラ効果。大手企業の中間決算は
製造業を中心に好業績が相次いだが、実力ゆえの伸びとは
言い切れない・・・』
と続きます。
そもそも果たして今が円安なのでしょうか・・・
私にはどうしてもそうは思えません。
もちろん為替には絶対値というものはありませんが、
少なくともリーマン・ショック以降続いた円高、
とくに2010年末から2012年末まで、ほぼ丸2年にもわたって
続いた1ドル=80円は、どう考えても異常な円高では
なかったでしょうか。
世界的に金融システムに対する信認が失われ、
行き場を失ったマネーが、消去法的に円を選択した結果起きた
特異な現象。
これが当時の円高の本質であり、いわばペーパーマネーの
世界の出来事だったといえるでしょう。
つまり紙のお金の世界で起きた危機が、実体経済を歪め続けた
というのが過去2年の1ドル=80円時代の構図であり、それに苦しめられた
日本の製造業は、リーマン・ショックの被害者だとも言えるわけです。
加えて当時の民主党政権の経済オンチぶりが、
世界中のマネーから甘く見られ続けたということもあったでしょう。
その点をいち早く見抜き、就任早々円高是正に手をうった
安倍さんはもっと評価されるべきだと思います。マスコミもまた、
いつも斜に構えて批判的な書きようをするばかりではなく、
もっと物事の本質に迫るべきではないでしょうか。
先ほどの朝日の記事タイトルにあてはめますと『好調決算 実力以上』
ではなく、『円高是正により、日本企業の競争力戻る』と
あるべきでしょう。
つまり『日本企業は本来強い競争力を持っているが、
度を超えた円高によって、一時的に窮地に陥っていた、ただし元凶の
円高が修正されることによって競争力を回復できた』というのが、
今回のV字回復の解説として適切ではないかと思うわけです。
これは単に表現の違いということではなく、今後の企業業績、
やや大げさに言えば我が国経済の行方を予想するうえで、
大変重要な違いだと私は思います。
モノゴトの本質を見極め、それを偏見なく読者に
伝えること。これもマスコミの大切な役割ではないかと
私は思いますが、いかがなものでしょうか。
では今回はこのへんで。
(2013年11月7日)
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