現物資産について深く考えてみる

みなさんこんにちは。

紙の資産とはいったい何なのか・・・

先週はこのようなことについて少し考えました、
今回は紙の資産の対極にある「現物資産」について
考えてみたいと思います。

人はなぜ現物の資産に魅力を感じるのでしょうか。

金の塊(かたまり)であれ、不動産であれ、
美術品や宝石であれ、コインであれ・・・

現代人が現物資産を手にしたとき、
不思議な安心感を持つのはなぜなのでしょうか。

こころの奥底で、やはり紙の資産・・・言い換えれば
ネットワーク上のデジタル・データに対し、
どこか信頼しきっていないのではないかと私は
思います。

先週のメルマガでお話ししたビットコインの事故、
あるいはここ数年急速に進む紙の資産の増殖、
そしてその結果もたらされた紙幣一枚当たりの価値の減少・・

発行体の都合により、どのようなタイミングで、
あるいはどのような速度で増えるのかという不安、
そして中央銀行に財布のヒモの片側を預けてしまってよい
ものだろうかという素朴な疑問・・・

言い換えれば発行体の信頼そのものに対する疑念に、
発行量への不信が加わったもの。

これが私たちが持つ「紙の資産」に対する漠然とした
不安の正体ではないでしょうか。

一方で「現物資産」を持つ場合にも、
私たちは違った種類の不安を持つことになります。

代表的のものは、物理的に資産が消失してしまのでは
ないかという不安です。

不動産や美術品の場合なら、火事や風水害で価値が大きく
毀損することへの不安。

貴金属やコインの場合は盗難にあう不安がつきまといます。

これらは現物の資産を持つことによる代償で、回避する
ためには相応のコストがかかることになります。

もう一つの不安は「現物資産の価値はいったい何によって
裏付けられているのか」という点ではないでしょうか。

例えば不動産の場合、保有することによって賃貸料収入を
えることができます。

これはどういうことかと言いますと、不動産の価値は、
賃貸料収入によって裏付けられており、その価値には
普遍性があるということです。

つまり簡単に言えば不動産には、得られる家賃に見合った相場が
ありますから、そこから離れ、びっくりするほど価格が
下落することはないといってよいでしょう。

一方で同じ現物の資産でも、例えば金の塊(かたまり)では
少し事情が異なります、金は不動産と違い、基本的には
持っていても収入は得られません。

ですから1グラム=4000円といわれれば、そのような気もしますが、
仮に1グラム=1000円といえば、またそれが正しいような気もする
わけです。

つまり不動産と違って、価格形成における均衡点の
ようなものを、なかなか見出しづらい資産だといってよいでしょう。

均衡点がない相場では、買いたいと思う人が増えれば
相場はいくらでも上がり、買いたいと思う人が減れば
相場は下がります。

美術品にしろ、金の塊にしろ、コインにしろ
宝石にしろ・・・インカムゲインを生まないタイプの現物資産は、
すべてこのようなロジックで相場が形成されていると
いってよいでしょう。

このような資産への投資で収益を上げるには、
最終的には「買いたいと思う人が、今後増えるか
どうかの見極め」が重要ではないかと思います。

そのような観点でいまの世界を見渡すとどうでしょうか、
前段で見たように紙の資産に対する疑念のレベルは徐々に
高まりつつあり、種類を問わず、現物資産への選好は
進みつつあるといってよいでしょう。

つまり「買いたいと思う人が、今後増える可能性が
ある」ということです。

従って貴金属やコインのような、インカムを得られない
現物資産でも、資産に組み入れる意味はあると
私は思います。

特に一定以上の資産をお持ちの方は、資産の質的分散
という観点で、もう少し現物の資産、特にインカムを
生まない現物資産に、もっと目を向けていいのでは
ないでしょうか。

保険をかけるという意味でも・・・

 

では今回はこのへんで。

(2014年3月18日)




 




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