■緩和の出口に起きそうなこと
みなさんこんにちは。
日銀が異次元緩和を始めてから一年が経ちました。
直近のインフレ率は1.3%まで高まり、
少なくともここまでは日銀の想定するゴールに向かって、
日本の経済は動きつつあるといってよいでしょう。
目標の2%インフレの達成時期はいつなのか、
あるいはそもそも2%インフレは達成可能なのか・・・
この点については、さまざまな見方があるようですが、
それでも大きな方向性としては、長らくデフレに
苦しんできた日本が、正常化に向かいつつあると
みてよいと思います。
多少の時差はあるとしても、
今のペースでマネーの量が増えてゆけば、
あるいは日銀がさらに緩和政策を強化すれば、
遅かれ早かれインフレ率2%は達成されることに
なるでしょう。
その時点で日銀の異次元緩和は終了し、
正常運転に戻ることになるはずです。
では異次元緩和の終結によって、日本経済はどのような影響を
受けるのでしょうか、そして私たちの生活や資産運用は、
いったいどのような影響を受けるのでしょうか。
まず一番懸念されるのは、国債購入停止による
金利への影響だと思います。
現在の日本国債10年物の利回りは0.6%台半ばですが、
これは一年間日銀が大量に国債を購入してきた成果であり、
いわば人為的に作られてきた水準といってよいでしょう。
大量に買い続けてきた日銀の購入が正常化する結果、
長期金利の水準もまた正常化することになるでしょう、
簡単にいえば長期金利の上昇です。
ではいったい正常な金利の水準は、
どのあたりにあるべきなのでしょうか・・・
我が国は15年にもおよぶ長期のデフレ状態にありました、
この間経済のサイズもほとんど増えず、いわば正常な経済とは
ほど遠い状態にあったといえるでしょう。
これから日本が経験しようとしている正常な経済下で、
さらに私たちが経験したことのないような、
成熟化した経済・社会の状況下で、
いったい適切な金利の水準はどこにあるべきなのか・・・
この点については、おそらく日本だけでなく、
世界全体でみても未体験ゾーンといって
よいのかもしれません。
ですからそもそも異次元緩和後の適切な金利水準を、
想定しようとすること自体無理があるのかもしれません。
ただ傾向としては日本と似通った環境に置かれた国、
例えばイギリス、ドイツやフランスの現在の金利水準が、
一つの参考になるような気もします。
やや乱暴ではありますが、ここでは異次元後の
長期金利を、現在の上記3国の水準並みの2.0%と仮定します。
現在の水準は0.65%ですから、約1.35%の金利上昇
となるわけです。
この金利の上昇はさまざまなところに影響を及ぼします。
例えば日本の財政という観点で見た場合、
国債の利払いの増加には警戒が必要です。
経済の正常化に伴って税収も増えますが、
全体で見て健全な財政をとり戻すことはできる
のでしょうか?
あるいは企業にとって借入金利が上昇しますので、
設備投資の足かせになるでしょう。また日本国債を
大量に保有する金融機関は、一定の損失計上が避けられ
ないでしょう。
日本経済正常化の追い風に乗り、あるいは海外企業との競合
に勝つことによって、そのマイナス効果を跳ね返すことは
できるでしょうか?
また私たち個人にとっても影響は甚大で、
例えば住宅ローンや教育ローンの金利上昇という
負の側面がある一方、預貯金の金利の上昇や保有する
債券の利回り上昇など恩恵を受ける面もあります。
国、企業、家計。
この3者に対し、異次元緩和の終結が具体的に
どのような影響を及ぼすのか、そして私たちは
どのような点に気をつけて、資産を運用あるいは
保全すべきなのか。
次回はこのような観点で、もう少しこのお話しを
続けたいと思います。
では今回はこのへんで。
(2014年4月4日)
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