■緩和の出口に起きそうなこと-2
みなさんこんにちは。
前回お話しした通り、 今回は日銀による金融緩和の
出口で起きそうなことについて、もう少し具体的に考えて
みたいと思います。
まずは私たち個人の生活に対する影響です。
金利が上がるとどうなるのか・・・
この問題は簡単なようで結構複雑です。
長期金利の代表的な指標である、日本国債10年物の
利回りは現在0.6%前半にすぎません。前回も申し上げ
ましたが、これは日銀の大量購入による人口相場の結果です、
緩和の収束とともに、おそらく2%前後まで上昇する
とみておいたほうがよいでしょう。
長期金利が上昇した場合、私たち個人が最も影響を
うけるのは、なんといっても住宅ローンではないかと思います。
例えば4000万円のローンを30年、固定金利0.9%で返済するケース
について考えてみましょう。
上記の場合の総支払額は約4560万円ですが、
もし金利が1%上昇し1.9%になりますとどうでしょうか。
この場合総支払額は約5250万円となり、現状と比べ
690万円も支払い利息が増えてしまう勘定です。
住宅ローンは長期金利の影響を受けやすく、
これはあながち悲観的な見通しとはいえません。
長らく低成長、デフレ、低金利が続きましたから、
なかなかイメージしづらいかもしれませんが、
正常な経済の状態に戻りますと、このようになる
可能性が高いと考えておくべきでしょう。
従って長期の住宅ローンをお組みになる場合、
現在の人為的な低金利を生かすべきで、
すなわち固定金利が基本とお考えください。
そのほかの大きなお買い物も同じです、
昨今東京の将来を好感した方、あるいはインフレに
よる資産目減り対策で不動産をお買いなる方が
増えてきました、私もこの考え方には賛成なのですが、
大きなローンを組んでの購入には反対です。
少なくとも頭金は40%程度は準備すること、
さらに金利の上昇にそなえ、一定の流動性資産を
確保したうえでローンをお使いになること、
この2点はしっかりと押さえてください。
一方で金利の上昇は、個人にとって
悪いことばかりではありません。
例えば銀行にお預けになっている預貯金の金利です、
いまのところ大手銀行の1年定期で0.03%ほど、ネット銀行なら
0.35%といったところでしょうか。いずれにしてもよほど
大きなお金を預けない限り、受け取る利息はごく
わずかなものにすぎません。
では仮に今後長期金利が、さきほどと同じく1.4%上昇
すればどうでしょうか。
上記の住宅ローンのケースとは逆に、今度は受け取るほうの
リソクが雪だるま式に増えることになるのでしょうか。
さきほど住宅ローンの金利は長期金利の影響を受けやすい
と申し上げましたが、残念なことに定期預金の金利は、
一般的に長期金利ではなく、短期金利の影響を受けやすい
傾向にあります。
一方で短期金利は日銀が政策的に決めており、
現在でもゼロ金利状態が続いています。
もちろん日銀がゼロ金利を解除すれば、
短期金利の上昇→預金金利の上昇
という経路で、預金者にも恩恵が及びますが、
はたしてそこはどうでしょうか・・・
仮に一年物定期預金の金利が上昇したとしても、その上昇幅が
長期金利の上昇幅、すなわち1.4%に近づくとは
考えづらく、せいぜい0.2%程度の上昇がよいところ
ではないかと私は思います。
では預貯金の金利が0.2%上昇した場合、
私たちが受け取る利息はどの程度増えるので
しょうか。
先ほどの住宅ローンのシミュレーションと比較するため、
(やや無理やりではありますが)預金の条件を、
以下のようにそろえてみました。
・預入額 4000万円
・年利0.2%(税引き後)
・預入期間 30年(注)
注)単純化のため、一年定期を回転させると考えています
上記の試算の結果、30年後の残高は約4250万円となり、
この場合受取利息の増加額は約250万円にすぎません。
これに対し先ほどの住宅ローンの例では、
長期金利上昇により、支払い利息は約690万円ほど
増えました。
以上の試算から
1.住宅ローン金利は長期金利との連動性が強く、
金融緩和の収束によって、思わぬ利払いの上昇を
迫られる可能性がある
2.預貯金の金利は長期金利との連動性が弱く、
受取利息の大きな上昇は期待できない
という傾向を見ることができました。
大雑把な傾向ではありますが、上記2点を知っておくだけで、
金利上昇への対策として有効ではないかと思います。
では今回はこのへんで。
(2014年4月8日)
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