緩和の出口に起きそうなこと-3

みなさんこんにちは。

日銀による金融緩和の出口で、
いったいどのようなことが起き、
私たちはどのようなことに注意して資産を
運用、保全すべきか・・・

2回にわたってこのようなお話しをして参りましたが、
今回は最終回で、国の財政や企業に与える影響について
少し考えてみたいと思います。

緩和の出口で一番注意が必要なのは金利の上昇だ。

前回はこのようなお話しをしましたが、
これは個人の生活だけではなく、国家の財政にも
共通していると思います。

ここで改めて申し上げるまでもなく、日本の財政は
危機的で、国債だけで既に約980兆円の
発行残高があります。

注)平成2013年3月末時点、短期国債を含む

一方で国債は国の借金ですから、これらに対して
利息を支払い続ける必要があります。

財務省の試算では、金利が1%上がると今年度の
国債の利払いは1兆円ほど増えるとのこと、
1兆円は確かに大きな金額ではありますが、
財政にとって逆に良い面もあります。

なにより法人税が増えます。

緩和の終了はすなわち、インフレ率2%達成の裏返しです、
この適度なインフレは企業業績に対してプラスに作用する
といえるでしょう、また同様に為替に対してはやや円安方向に
働きやすいと考えてよいでしょう。

その結果、企業の業績は拡大しやすく、
この場合法人税は増えます。

また企業の業績が回復すれば、そこで働く従業員の
給料も増えます、今年は久々にベースアップがありましたが、
今後もこの傾向は続きやすいと考えてよいでしょう。

お給料が増えますと、所得税も増えますので、
この点でも国の財政にとってはプラスです。

さらにインフレ下では、すでに発行済みの国債の
実質価値・・・いいかえればインフレ率で調整した、
相対価値は下がります、まあ簡単にいえばインフレによって
過去発行された国債の価値が薄められ、日本という国の
財務内容が改善するというイメージです。

以上のように緩和政策の終了、すなわち日銀による
異次元緩和の目標達成は、政府の財政にとって、
差し引きプラスに作用すると考えてよいでしょう。

これに対して国債の保有者、すなわち企業側では逆の
現象が起きます、例えば国債の価値は金利の上昇によって
減価します、また物価の上昇によって相対的な国債の価値は、
インフレ率分だけ目減りするわけです。

現在の国債の保有者内訳をみますと、
以下のようになっています。

・保険 19.6%
・日銀 18.6%
・中小金融機関 16.5%
・国内銀行 13.7%
・海外 8.3%
・公的年金 7.0%

上記のように日本国債の保有者は、主に国内の金融機関ですが、
かれらにとって異次元緩和の終了は、深刻な影響を
招く可能性があります。

既に大手の銀行は国債の持ち高を減らしつつあるようですが、
保険や中小の金融機関の保有額は、全体としてはそれほど変化して
いないようにみえます。

従って大手銀行にくらべ地銀や生保は、より金利上昇や
インフレによる悪影響を受けやすいといってよいでしょう。

問題は彼らが、この逆風を上回る稼ぐ力を身に着けられるか
どうか、また来たるべき金利の上昇にそなえ、自己資本を
積み上げることができるか否か・・・

特に中小の地銀や生保にとって、
やや難しい時期が訪れる可能性があると思います。

 

では今回はこのへんで。

(2014年4月17日)




 




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