そろそろ銀

みなさんこんにちは。

前回は金の話をさせて頂きましたが、
今回はちょっと色の薄い銀のお話しを致します。

銀もなかなかいいものですよ、
たしかに金に比べると美しさでは見劣りがしますが、
薄く銀サビがのった色合いなどシブくて、
たまらないものがあります。

重量もなかなかどうして・・・

もちろん金に比べると少し軽いですが、
手に取ったときのズッシリ感は、
ここちよいものがあります。

ただ難点は価格が安いこと・・・

例えば10キロの地金を店頭で買うと、
結構大変なことになります。
それでも円に換算すると60万円そこそこに過ぎません。

従って銀への投資は、現物というわけにはゆかず、
ETF中心ということになるわけです。

さて私たちが銀への投資を行う場合、
いくつか理解しておくべき点があります。

まずは市場の規模が小さいところです、
昨年の世界中で行われた銀の取引額は1兆8000億ドル
と推測されますが、この金額は金のそれ(約26兆ドル)
のわずか約7%にすぎません。

注)上記はトムソン・ロイターのWorld Silver Survey 2014
   およびWorld Gold Survey 2014による

従って金は銀に比べ流動性が低く、
価格の上下動が激しいと考えておくべきでは
ないでしょうか。

これは実際のデータからも裏付け可能です、
以下は2013年における、金と銀の最高値および最安値の
比較です。

□金

最安値 1192ドル
最高値 1694ドル

最高値÷最安値=142%

□銀

最安値 18.61ドル
最高値 31.11ドル

最高値÷最安値=159%

注)いずれもロンドン市場スポット価格

上記は2013年のみのデータですが、他の年も
同様の傾向がみられます。

二つ目の特徴は銀には二面性があるという点です。

例えば金(Gold)の場合、工業用途の比率は
全需要のわずか10%以下にすぎません。

これに対し銀はと言いますと、その工業用途は
全需要の半分以上を占めます、例えば携帯端末やPC内部の
接点の素材として、導電性の高い銀は不可欠です。

従って銀は金と違い、景気の変動や循環の影響を
受けやすい性質を持っているわけです。

一方で銀は金と同じく、通貨の代替機能も併せ持って
おり、ちょうど今のように金と同じく(景気とは関係なく)、
ドルと逆相関性を強く示す時期もあります。

このような銀の二面性は、その価格の動きにも特有の
リズムを与えることになります、銀への投資を考える場合、
いま相場は銀のどちらの側面に注目しているのか、
冷静に見極める必要があるといってよいでしょう。

さてここからは本題の今後の銀相場についてです。

先月から始まったドル高局面で、いままさに相場の
視線は銀がもつ通貨的側面の方に集まっていると
いってよいでしょう。

簡単に言えばドル買いの結果起きた銀売りです。

さらに先月の月初以来の金と銀の下落率を
ここで見ておきますと、以下のようになります。

□金 ▲5.36%
□銀 ▲11.89%

注)ロンドン市場スポット価格

金と銀が下落した理由は、ともにドル高ですが、
その下落率は上記のように随分と開きがあり、
銀はより大きく下落していることが解ります。

これは前述のように両者の市場規模の違いによるもの
だと考えてよいでしょう。

では今後銀はどのような動きをみせるのでしょうか。

一つ意識しておきたいのは、1オンス=18ドルです。

過去を振り返りますと、例えば前世紀末の10年間は
1オンス=5ドル以下という時期が長く続きました。
が、例えば日米欧で流動性強化策を進めた2009年以降、
銀の相場水準もまた異次元に入っていることが
わかります。

即ち米国がQEを始めた2008年末に1オンス=10ドル台に
乗せてから相場は急上昇し、2009年末以降ずっと、
1オンス=18ドルが下値の抵抗線になっていました。

つまり現在市場に供給されたマネーの量を前提にすれば、
銀の価格は1オンス=18ドル以下には下がりにくい構造に
あるいってよいのではないかと思います。

では最近の18ドル割れは、一体なにを意味している
のでしょうか。

一つは何も意味していない、つまり一時的な
行き過ぎにすぎないという考え方です。相場は常に
行き過ぎるものです、今回の銀の18ドル割れは行き過ぎで、
いずれ元に戻るという考え方もあってよいでしょう。

米国の経済は確かに力強さを増していますが、
イエレン議長が言ったように、QE停止後もFRBの膨張した
バランシートは急に正常化するわけではありません。

つまり向こう数年はドルの過剰状態は続くわけです。

この説を採るなら、銀は近々18ドル台を回復
することになるでしょう。

二つ目はやはり相場は正しく先をみているのではないかと
いう考え方です。

たとえドル紙幣の総量は不変でも、
米国経済が正常化しますと、金利は上昇しますので、
金利を生まない銀の魅力は薄れます。

相場は単純にドル紙幣の総量をみるだけでなく、
金利の上昇までみているのかもしれません。

ではこの考えに立てば、銀はウリなのでしょうか?
そして18ドル割れが定着するのでしょうか・・・

私はそうは思いません、先ほど申しましたように、
銀には二面性があり、経済の拡大によってその消費量は
増えます。

仮に米国経済の正常化を市場が織り込むなら、
金利の上昇の次、すなわち銀の実需の増加を織り込む
時期がきっとくるはずです。その時市場が注目するのは、
貴金属としての銀ではなく、産業用金属としての銀と
いうことになるでしょう。

しかも前記のように銀は、金と比べ市場規模が
小さく、相場の上下動が大きい傾向にあります。

感覚的には1オンス=14ドル以下を買いたいところですが、
そこまで下がるかどうか・・・少しリスクはありますが、
17ドル割れを買い行ってもよいのではないでしょうか。

では今回はこのへんで。

(2014年9月25日)




 




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